KGI戦法

最近の、というより旧日本軍時代から何も変わらない、我が国のお上の伝統的な戦術が、KGI戦法。

K…勝手に決めて
G…ゴリ押ししつつ時間稼ぎをし
I…今更止められない

で開き直って一点突破・全面展開で強行。

なんでもかんでもこんなんばっか。

いい加減飽きた。もうちょっと庶民に見破られない、お利口なやり方はないのかしらん、と思う。

何でも先に結論ありきで決めて、稚拙な理由をもっともらしく後付けするから、毎回大衆に見透かされて鼻で笑われる。で、あからさまに嘲笑されても、聞こえない聞こえないで時間稼ぎをして、最後はいつももう「今更止められない・変えられない」で実行。国葬東京五輪、アベノマスク、インパール作戦。何かやる時は全部このパターンを踏襲。たぶん今後の原発のフル再稼働、そして新設も、この戦法で押し切るはず。この人らは一度決めたら絶対にやめない。途中で臨機応変に対応を変化させるという柔軟性が全くない。

アベノマスクなんて、もしも勝手に決めて発注かける前に「これから布マスクを作って全国民に配ろうと計画しています」と発表していれば、「んなもん要らん要らん」で終わり。何百億も無駄な散財をしなくて済んだはず。だいたい、あんな昭和の小学校の給食当番みたいなマスク、本当に国民が必要としているかどうか、ちょっと考えたら、というか考えるまでもなく、いい大人がわからんか? と。結局国会議員で着けていたのは最後までアベだけだったし、その張本人もそのうちにドサクサに紛れてやめてしまった。残ったのは大量すぎて管理しきれないほどの在庫の山だけ。いっそ国葬の時は、アホみたいに余っているのだから、故人の輝かしい功績のひとつだし、入口で参列者全員にアベノマスクを配って着用させて式典(と呼ぶのかどうか知らんけど)をやり、献花にきた一般人にはお土産で渡せばいい。

それでも、死者に鞭打つようなことは日本人として美しくないし、もう過ぎたことなので今更どうしようもないことだけれど、日本のコロナ禍の礎を築いてくださったのはアベ様。いちばん大事な初動で島国の利点を放棄していきなり春節ウエルカムで絶賛感染爆発中のチャイニーズをドカンと入れ、その後、世界の流れに押されてせっかく強めの緊急事態宣言でかなり抑え込んだのに、もうちょっとの我慢が出来ずゴーツーで台無しにしてくださった。あとは、五輪に向けて特攻。そしてご病気で退陣され、壊れたカセットプレーヤーが宣言を出したり引っ込めたり右往左往している間に、劇的にご快復され、しらっと帰ってきてからはフィクサー気取り。

ただ、とはいえコロナ禍で、全く使い物にならない貧相なマスク二枚と十万ぽっちとはいえ、庶民に公平に何かを配ったのはアベ様だけなので、その点だけは素晴らしい。スガとキシタからは、とにかく庶民にはもうビタ一文払う気は絶対にないという鉄の意志しか感じない。最近はとくに、海外には四兆五兆とまるで豆腐を数えるみたいにポンポンと気前良くバラ撒いているけれど、一般的な国民は無視。

それはともかく、いまソーリ大臣が頭を抱えているのは、おそらく国葬。ただでさえケチがつきまくっていて、言い訳がましさがいちいちみっともなく、散々だったところへもってきて、エリザベス女王が亡くなられたことでトドメを刺されて、いやでも比較されることになり、格好すらつかなくなってしまった。そもそも国葬に本来は理由などいらない。エリザベス女王国葬に、弔意以外の理由があって、それをいちいちイギリスの首相が国民に説明するなんて無様なことをやっているか? と。国葬の理由を国民に説明しなければならない時点で、後ろめたさがあって、その対象者が国葬には値しないと言っているようなもの。しかもどこぞの国と違ってイギリスはちゃんと議会を通したうえで国葬をやる。とはいえ、まあ一度決めたことは絶対に変更しないのでとうぜんこのままやるのだろうけれど、やる前からめちゃくちゃ立派で荘厳であろうことが簡単に想像がつくエリザベス女王国葬を見た後で、テレビ局の子会社のイベント屋が仕切るアベの国葬という名の菊を見る会を見せられても、しらけまくること不可避。大袈裟にやろうとすればするほど、それに比例してショボさが目立ってしまうという悪循環にもう陥っている。

それにしても「一度決めたことは何が何でも絶対にやる」という作戦の代名詞ともいえるインパール作戦なんて、テレビのドキュメンタリーで見たくらいだけれど、弾もない、食い物もない、道もないと言っているのに、軍の上層部が「行け」と決めた以上は行かなければならない、なんてアホの極みとしか思えなかった。いやいや、行く前にちったー考えろよ、と自分のようなアホでも思う。ほんと行かされた兵隊さんは不憫で仕方ない。戦艦大和とかだって帰りの燃料を積まずに出撃するなんて、哀しすぎる。損切りは早ければ早いほど結果的には怪我が小さくて済むというシンプルなことがどうしてわからないのだろう、と不思議に思う。