処理

別に全く欲しくないけど、ちょっと前に漸く届いたアベノマスク。こんな国民のほとんどが望んでもいないマスクに国は何百億も使ったらしいけれど、本当に気前の良い話。誰が思いついたか知らんけれど、完全にカネをドブに捨てたとしか思えない。将来、日本史の教科書に載りそうな世紀の愚策。しかもこんなしょーもないものを国中のポストに放り込むだけのことに何ヶ月かかってるんだか。というか、せめて大臣連中くらいは国会やメディアに出る時だけでもこの格好良い給食マスクを着けたらどうだ? と。スガも「意義があった」とか得意げに胸を張るなら人前に出るときだけでもアベみたいに着けて出てこい、と。

それはともかく、いざ現物を手にしてみると改めて(こんなモン要らんし、かと言って捨てるのもアレだし、本当にありがた迷惑やな)と困った。で、どうしたものか、と思案しながらリサーチしてみると、寄付できることを知った。ただ、一言で寄付といっても、受け付けているところによって方法が様々だった。先にWebで登録が必要とか、受付は郵送のみで送料自己負担とか、けっこう複雑。で、いちいち登録とか面倒くさいし、タダでもらった欲しくもなかったモノに自分が金を出して寄付するのも嫌だし、もっと簡単に「回収箱にポイ」みたいに気軽に渡せるところはないんかいな? と更にネット検索してみたら、まさに希望通りの方法で寄付できる団体があった。しかも家から徒歩圏内(ちょっと遠いけれどギリギリ歩けそうな距離)にボックスが設置されていて、これだ、と思った。

そして、周りの親しい連中と会った時にアベノマスクの話になり、みんながみんな「要らんし、処分に困るわ」とブー垂れていたので、「おれは寄付するつもりだけどな」と言うと「おれもしようかな」とその場の全員が興味を示したので「じゃあ預けてくれたら、まとめてしてきてやるわ」と請け負った。「簡単にできるのか?」と訊かれたので「未開封の新品ならリサイクルボックスに放り込む感覚でできるらしいわ」とこたえたら、「そういえばそんなニュースを見た気がするな」と言っていた。

そうして数日後、手元に複数のアベノマスク(モノによって中に入っているチラシが違った)を集めると、サクッと寄付してきた。設置場所へ行くと回収箱があり、そこへ放りこんで任務完了。車で行くと微々たるものとはいえガソリン代がかかるので、涼しめの夕方に散歩がてらプラプラと歩いて行ってきた。なので完全にコストはゼロ円。

尤も『寄付』といえば聞こえがいいけれど、タダでもらったモノをそのまま横流ししただけで、身銭は全く切っていないから、良いことをしたと胸を張れることではないし、得意げに言えることでもない。ぶっちゃけ、単なる『処理』。たまたま生活圏内に回収箱があって、どうせ持っていても仕方ないし、そもそも不要だし、かといって無碍に捨てるのも忍びないので、入れてきただけ。これを『寄付』と呼ぶなんて流石に烏滸がましい。せいぜい『寄贈』、或いは『譲渡』。堂々と『寄付』というならやはり身銭を切らないとダメだと思うから、『引き取ってもらった』という表現が最もしっくりくる。だいたい今回のうちらの行動の根底には『善意』という感覚がない。実際、みんなマスクは譲渡したけれど、自分も含めてこの後にくれるらしい10万はそのままいただく予定。寄付なんかしない。

しかし次の十万は、使い方が難しい。そのまま何かを買うと、もれなく消費税として政府に1万キャッシュバックすることになり、実質九万にしかならないので、なんか面白くない。なので、いつか海外へ行けるようになった時にワイハの口座にそのまま入れるか、関税等がかからない範囲内の金額のモノを海外通販で買うつもり。今は海外発送でも一定額以上の買い物をすると送料無料になるブランドがけっこうあるので、うまくやれば国内で買うよりかなりお得に買えるし、直販だと国内で売っていないモデルも選べたりする。とにかく日本国に一割キャッシュバックするような使い方だけはなんとしても回避したい。

ただ正直なところ、どうして十万くれるのか、よくわからない。今更、もう理由も忘れた。とはいえ、くれるというものを断ることはないし、もらえるものはもちろん遠慮なくもらうけれども。マスクは要らないけれど、現金なら欲しいに決まってる。

それにしても、この10万の後に更に撒くらしい「旅行クーポン」とやらは、相変わらずバカみたいで笑える。どうせいざ使うとなると手続きとか面倒くさそうで結局「もうええわ」と手を出さずに終了しそうな予感しかない。

しかし今の政府は、やたら連休を作って旅行に行かせようとしたり、何かにつけて国民を旅行に行かせたがっている気がしてならないけれど、ここまでしつこいと、アベノマスクみたいに何か利権でもあるのか? と勘繰りたくなる。そもそも個人的に旅行は確かに好きだけれど、国に指図される筋合いはない。旅行くらい勝手に行くから干渉してくるな、という感じ。だいたい「県境を越えるな」という「要請」という名の「規制」を解除(実質的には単なる緩和だが)すると同時に「旅行に行け」なんて、アタマ大丈夫か? としか思えない。というかニッボンの7月や8月などという超クソ暑い真夏の時期に旅行なんぞ行きたくない。寧ろ夏場こそ「Stay home」でいい。それに、どうせどこもここぞとばかりに儲けを取り戻しにかかってくるだろうから、たぶんぼったくられる。年内くらいは家にいた方がマシ。そもそも旅行なんてものは心身共に余裕がある時にするもの。というかマスクして衛生面に敏感になりながら警戒心を解かずに旅行なんかしたって全然楽しくなさそう。

だいたい「明日、食うもんがない」とか「もう店がやっていけん」とか言って困っている人も少なくないというのに国が派手に旗を振って「どこか観光に行け」なんて鬼畜のよう。しかも「夏以降は自由に旅行してくれ」と言いながら、日本各地で行われる秋の大きなお祭りが軒並みどこも早々に中止が決まっているのはなぜなのか。結局、お上の言うことなんか最早誰も全然信頼していないし、まだみんな本心では(本当に大丈夫なのかいな)とビビっている。

あと、なんか電話に接触確認アプリを入れろと盛んに言っているけれど、AppleGoogleが直でやるならともかく日本政府が絡むなら、こそっと何を抜いてるか、データを何に使われるか、わかったものじゃないし、全く信用ならないので、絶対に入れない。というかこれもどこにいくら払って作ったか怪しいもの。

というか、まるで先に決めた期日に合わせるようにここまで露骨に計画的に弛められてくると、まあ、こんなこと現実的に口に出して言うとフルボッコにされそうだけど、実際のところ、どれだけ人が集まって「密」になろうが、そのうちの誰もウイルスを持ってなかったら別に何の問題もないんだよな、とふと思ってしまう。あくまでも結果論に過ぎないけれど、坂道ドームだって林檎だってK-1だって結局クラスターを発生させてはいないし、今だって開いている飲食店で「三密? 何それ?」状態のところなんていくらでもある。

もちろん、誰も自分がウイルスを持っていないとはわからないからどうしようもないし、個人的には、まだ警戒を解く気も好き勝手に動く気も全くないけれども。これまで通り、淡々と暮らすつもり。