衝動

九月になったけれど、まだ暑い。で、主に暑い時期限定でいつも、或る衝動に強く突き上げられる。まあ、結果としては、いつもなんとかやり過ごして、実行には至らないのだけれど、けっこうギリギリまで気持ち的には鬩ぎ合う。

その衝動とは何かというと、頭を坊主にしたくなること。とくに、風呂で髪を洗って乾かす時に「ああ坊主にしてえ!」と思う。というのも、誰でもそうだと思うけれど、ドライヤーで髪を乾かすのが、どうにもかったるい。単純に熱風が熱いし、暑いし、だからといってタオルドライだけで済ますわけにはいかないし、辛くても乾かすしかない。その時、「ああ坊主にしてえ!」と激しく思う。

しかし、まあいったんドライヤーが終われば「やっぱ坊主はちょっとなー」と思い直し、その衝動は自然に消えていく。ただ、髪が伸びてくると、ドライヤーと関係なく、やはり髪をバッサリ切って坊主にしたくなる。とくに自分の場合、髪型がツーブロックなのでだいたい二週間に一度はバリカンを使っていて、誰かに刈ってもらっているときに(横は自分で刈れるけれど後ろは無理なので人に頼んでやってもらっている)、このまま全部イっちゃえば……という妄想が頭をよぎる。この時にビジュアルとしていつも脳裏に浮かぶのは、オーシャンズの頃の坊主頭のブラピ。冷静に考えればオーシャンズの坊主のブラピは「坊主頭だから」格好いいわけではなく「ブラピ」だから格好いいわけで、自分が真似ても無意味だとすぐに気づくけれど、常に理想の坊主像としてあの頃のブラピが消えない。

ただ今のところ坊主は踏みとどまっているけれど、もしも禿げたら、それも前からではなく頭頂部からキたら、躊躇なく短い丸刈りにし、それでもどうにもならなくなったらスキンヘッドにすると思う。似合う似合わないはともかく、そうなったらやるしかない。髪型なんてものは続けていればそのうちに見慣れる。

といっても、今はまだ禿げる心配はしていない。ぶっちゃけハゲに関しては、その予兆すらない。髪は、多すぎて鬱陶しいくらいだし、美容師の子にも「禿げはしないと思う」みたいに言われている。白髪は二十代の頃からあるけれど、斑らで全体には程遠いし、最近はその増加もなんか止まっている感がある。白髪に関しては、どうせ白くなるならいっそのこと吉川晃司や坂本龍一レベルにまでいって欲しいけれど(敬称略)、どう頑張ってもそこまでは増えそうにない。白髪染めもしたりしなかったりで、基本的には高校生の頃から髪を染めていない時期はないので、適当に染めながらその延長線上にいる。まあ髪を染めないという選択肢は自分の中にないので、常に髪には何かしら色を入れているけれど、白髪はガッツリ白髪染めをするほどの量でもない感じだし、実際、この頃はもう白髪染めはやっていない。ふつうのカラーリング剤でも、そこそこ色は入る。むしろもっと白髪が増えてきたらいったんガッツリとブリーチしてシルバーアッシュ系の色を入れたい。

因みに、髪は家で自分で染める派なので、市販のカラーリング剤はその時の気分でいろんなメーカーのいろんな色を適当に使って染めているけれど、白髪染めに関しては「サイオス」のオレオクリームというモノを気に入っていて、それ一択。

ところで、夏の「毛」に関しては、頭以外に、夏しかまず露出することのない脚の毛問題もある。要はすね毛。これに関しては、数年前からだいたい週一くらいのペースで、アタッチメント類を何もつけない状態のバリカンで太ももから下を刈っている。流石にオッサンなので「剃る」とか「抜く」とかはしないし、本格的な脱毛なんかはするつもりもないけれど、脚の毛はないほうが見た目的にも自分の感触的にも良いと思う。自分は全身で考えても別に毛深くはないけれど、脚の毛は無い方がさっぱりする。最初は足が露出する夏場だけ刈っていたけれど、今ではほぼ通年処理している。自分の性格的に、もしもいま十代とかだったら、たぶん全身の脱毛とか割と真剣に考慮している可能性は高い。昔から毛むくじゃらは見るのもあんま得意ではない。

最後に、暑いといえば、髪よりも足の毛よりも、何よりもこの時期に鬱陶しいのはマスク。しかしこればかりは鬱陶しいからといって外すわけにはいかない。しかもこの頃ではポリウレタンのオサレ系マスクは白い目で見られる風潮があり、実際ウレタンでは心許ないくらい感染が油断できない雰囲気になってきているので、さすがに自分も最近では、不織布のマスクをしている。といっても、空いてる外では適時外したり、冷感系をしているけれど、公共交通機関や建物内、また外でも人の多い場所では、クソダサい不織布マスクをつけている。不織布のマスクは、なんやかんやと箱でいくつか人から貰っていて、一回使ったら気前よくじゃんじゃん捨てていっても当分は在庫の底が見えないくらい、いつの間にか大量に溜まっている。オサレ系の不織布としてヴィクトリアンマスクも買って持っているけれど、これは単価で換算すると一枚100円くらいするので、使うタイミングを選ぶ。その点、白で箱入りのやつは、所詮貰い物だし、気兼ねなく使いまくれる。どちらにしろ不織布は暑いしダサいけれど、ここまで感染状況が酷くなってくると、まあ仕方ない。実際、繁華街とか行っても明らかに不織布の人が多くなってきて、ウレタンは肩身が狭そうなくらい少なくなってきている。オシャレな雰囲気の綺麗なお姉さんなんかでもマスクは不織布だったりするくらいなので、同調圧力か知らないけれど、空気感染するとか脅されたら、こればかりは仕方ないと思う。GUのマスクみたいにフィルターが入っているなら不織布と同等かもしれないけれど、ちょっとまだあのタイプは着けていて暑い。