まあ要らん

と、思うのは、国のワクチン接種証明のアプリ。

ちなみに自分は二回接種済みだけれど、紙でもいいならわざわざアプリを電話に入れる気はないし、そもそも入れたいと思ったとしてもカードを持っていないし、証明なんて面倒臭いものが必要なところへは行く気がない。というかワクチンの接種証明は、海外へ行くなら相手国の決まりやガイドラインがあるだろうから仕方ないかもしれないけれど、国内で証明するだけなら、ワクチンを打った時にその場でくれる接種証明で充分ではないのか、と。名前もワクチンの種類やロット番号も接種した二回の日付も全部わかる。コピーして、ボロボロにならないようにパスケースにでも入れて持ち歩けばいい。なんならその書類を携帯で写真に撮ってそれを端末に保存しておいて、「見せて」と言われたらその画像を見せればいい。だいたい、その接種時の身元証明は運転免許証で、マイナンバーカードなんか使っていない。というか接種証明のアプリが国以外にも都や県、さらには民間のものまであって軽いカオス。本当かどうかは知らないけれど、もう国民の7割、8割が接種済みなら、ほとんどの人が打っていることになるだろうから、別に証明する必要もなさそう。しかもふだんはべつに使わず、緊急事態宣言が出たとき等に使うとか言ってるけれど、そんなもんが出るほど世の中にウイルスが蔓延している状況なら、無理に出歩かないほうがいい。蔓延時には戒厳令でも出して、この接種証明を通行手形にでもするつもりなのだろうか。いずれにせよ、使えるOSや端末に縛りのあるアプリなんかよりシンプルなアナログの方がよほど公平安全確実。

何より、ワクチンなんてものは「打ったら感染したときに重篤化しない可能性が高いよ?」という程度の代物で、打ったからといって感染しないわけではないし、感染したときに他人に感染させないわけでもないし、効果には期限があるらしいし、そんな代物を打ったことを証明したところで、だから何? という感じ。接種証明を提示して「私はもしも感染しても重篤化はしないと思います!」とわざわざ主張することにどれほどの意味があるのかわからない。しかもワクチンの効果には期限があるのに、接種証明に期限がないというのは、ほんとうに理解不能。だいたいこの頃では3回目を打てとか言っているのに、2回打った証明にどれだけの意味があるのか。

それに、接種証明で「特典が受けられる」というのも意味がわからない。ワクチンなんて、罹患したときに軽く済むらしいから仕方なく打つ個人的なことであって、べつに得したいわけではないし、社会のために打つわけでもない。百歩譲って、インフルエンザ等と違って新コロのワクチンは国がタダで打ってくれるという点で、既にそれが「得」になっているし、感染しても重篤化しないことで医療の逼迫を防ぐという意味なら、多少は社会のためといえるかもしれないけれど、そのへんの感覚はまあオマケみたいなもの。その程度のことの証明で何かしらの特典が受けられるなんて、国民は乞食か何かと思われているのか、と。

もちろんワクチンに感染を防ぐ効果があるなら、話はぜんぜん違ってくる。その接種証明で、不特定多数の人たちを相手にしなければならない交通機関や施設や店などは、ある程度安心できる。だけれども現状の「私は感染しても重篤化しない可能性が高いです」という程度の証明なんか、免罪符にすらならない。せいぜい、どこかでクラスターが発生した時に、ワクチン接種済なら「もしも罹患してもたぶん重篤化はしないだろうからまああまり大袈裟に騒がないでね」程度の意味しかなさそうで、結局、証明をする側、そしてさせる側の「やってる感」を出す気休めか自己満足に過ぎない感じ。

たとえば、リトマス試験紙みたいなものに唾を一滴垂らして色が変わらなかったらコロナ陰性、みたいな簡単な検査キットが無料でそこらじゅうの店や交通機関の入り口になどにあって、その都度チェックするなら、意味はあると思うけれど、そんな都合の良いモノはありそうにない。