トショカン

このところ土曜にけっこう暇なことが多く、地味に習慣化していることがある。それは朝から図書館へ行くこと。ぶらぶらと歩いていく。

図書館なんて、ン十年ぶりだったのだけれど、とうぜん貸出カードなんて、ずいぶん以前には作って持っていたものの、もうどこかへ行ってしまっていて手許にはなかった。なので最初の時にまずカードを作ろうと思ってカウンターへ行ったら、「以前持ってましたか?」と訊かれて「ン十年前だと思うんですけど」とこたえたら、コンピュータで調べてくれたものの既にデータはなかったので、新しくカードを作った。

しかし、普段から使っている人からしたら今更かもしれないけれど、今の図書館のシステムはすごい。ネット用のパスワードをくれて、図書館のサイトでログインするとその中に自分のページが持てる。でもって、その自分のページ内で本のリストが作れるので、家で自分のコンピュータから図書館の蔵書を検索して、読みたいと思う本があれば、借りる借りないは別として、それをぽんぽんと適当にリストに放り込んでおける。そしてもしも、借りるなら、そのまま予約まで可能。なので、いちいち図書館へ行って棚で本を探さなくてもいい。家で予約して、用意ができたら通知されるので、カウンターへ取りに行くだけ。ぶっちゃけ、取りに行ったり返したりする以外は、ほとんど自分のコンピュータ内で完結してしまう。

ただ、自分は適当にリストは作って遊んでいるけれど、借りるときは実際に図書館へ行き、棚を見て借りている。というのも、土曜の午前中の時間潰しに図書館へ行くのだから、むしろ本棚の間をウロウロしたい。で、たいてい一冊だけ借りる。それも、自分では買いそうにないジャンルの本を借りる。なんや小難しい世界の高層建築がどーたらとか邪馬台国がどーたらとか江戸の都市計画がどーたらとか、本屋ではまず手に取ることすらなさそうな完全に門外漢な専門書的なものを借りている。ジャンル的に自己啓発やビジネス書は全く興味がないので手を出さないし、今のところ小説は借りていない。小説は、つまらないものはどうでもいいけれど、面白い小説は、良い意味で時間泥棒で、引き込まれてしまうので、ガッツリと時間が取れる時でないと手が出しにくい。その点、門外漢の専門書的なものは、気楽に読める。しかも、読み始めてみたはいいけれど、どうにもつまらなかった場合、カネを出して買っているなら意地でも最後まで読むかもしれないけれど、借りた本なら途中でやめて返せばいい。とても経済的で時間の節約にもなる。

そして一冊だけ借りたら、公園へ行き、木陰のベンチでペットボトルの飲み物を飲みながら、昼くらいまで読む。で、どこかでメシを食って帰る。ただまあ、たいていその程度の時間では読み終わらないので、持って帰り、残りを一週間の間に読み、次の土曜日にまた行って、返し、借りる、の繰り返し。

はっきりいって、一円もかからずに時間が潰せる。それどころか、ほんの僅かながら市民税の元が取れる(図書館が何税で運営されているか知らんけど)。厳密にいうとペットボトルのジュース代がかかるけれど、家から持っていけばタダ。しかし、さすがにちょっとこの頃は暑くなってきて、公園がキツい。まだ木陰ならいいけれど、もう時間の問題。そのうちにはコーヒー代を出してカフェへ逃げ込まなくてはならなくなりそう。ただ、どこか店に入るくらいなら帰ってきても一緒のような気もするし、悩みどころ。因みに雨の日は、もちろん中止。傘を差してまで歩いては行きたくない。尤も雨が降りそうな日は、週間予報でだいたい前もってわかるので、読み終わっていれば土曜を待たずに適当な時に返しに行く。ただ、もともと二週間は借りておけるので、一週スキップしてもべつに問題はない。

しかし、出たばかりの人気のベストセラーとか、買って手元に置いておきたい本とか以外なら、ヤバいくらい図書館ってお得で便利だな、と改めて思った。どんな本でもタダで読み放題ってすごい。しかも今は感染症対策で、学習スペース以外は長居できない感じになってるので、ホームレスや学生の集団もいなくて、環境もいい。

というか、外国の図書館みたいに緑色のバンクランプがずらりと並んでいるような重厚な図書館が日本にもあったら入り浸りたくなりそう。しんと静まり返った空間の中で分厚い本を積み上げて一日中過ごしたい。