得すぎる

一時期ぜんぜん使わなかったけれど、今年になってまたちょくちょく図書館で本を借りて読んでいる。借りるのは、自分では買わない本。ミもフタもない言い方をするなら要は、高い本。一冊三千円とか四千円とかの本で、自分では買わないジャンルのものを借りて読んでいる。具体的には、地球外生命、古代文明邪馬台国、CIAだのNSAだのの諜報系などで、借りはじめた頃からほとんどブレがない。これらのハードカバー本は、日本の邪馬台国系のモノを除けばほとんどが翻訳本で、分厚くて高い。500ページや600ページオーバーなんてザラ。とくに自分はエイリアン・アブダクション系や国家の陰謀系が大好物。日本のUFO系の本はトンデモや都市伝説系というかたけしの年末の特番の書籍化みたいなムー的なものばかりの印象だけれど、海外のはちゃんとした学者などが書いているパターンが珍しくなく、読み物としてしっかりしているものが多い。諜報系もやはりCIAやNSAなどが出てくるとお話に重厚感がある。

そしてこの手の本は、そんなに新しくないモノが多いし、蔵書として図書館にはあるけれど借りる人が少ないのか、たいてい書庫にしまわれていて、一度借りれば、後ろが詰まっていないので、いくらでも延長できるのが利点。といっても、一回延長して(延長一回は図書館へわざわざ行かなくてもオンラインでできる)四週間経ったら、二回は延長できない決まりになっているので面倒だけれど一度は図書館に戻さなければいけない。それでも、何せ他に借りる人がいないので、またすぐ借りられる。他の人の予約が入っていると延長できずに二週間で返さなければならないけれど、サイトでチェックしている限り、予約なんか入ったことがない。というかだいたいの本が二週間なんかでは絶対に読めない。スカスカの文庫や新書なら二、三時間で読めるけれども。

なので、一冊借りると、たいてい一ヶ月くらいは借りっぱなし。そして一ヶ月で読み終わらなかったら、いったん返してまた数日後に借り、たいていしおり紐もそのままになっているので、そこから再開し、そのうちにようやく読了、みたいな感じで、一ヶ月半とか二ヶ月近く同じ本を借りっぱなし。ま、実際のところ返却期限を超えても、べつに怒られないし、ペナルティがあるわけでもないので、律儀に期限を厳守することはないのかもしれないけれど、延滞はなんとなく気分が落ち着かない。とはいえ正直、図書館へ行く時間がなかったり雨で行くのが面倒だったりして一日くらい遅れて返すことは時々あるのだけれど、カウンターで「すみません、ちょっと期限すぎちゃいました」と言いながら返しても「いいですよw」みたいな感じなので、責められるような肩身が狭い思いをすることはない。何なら夜間や休館日に返却ポストに放り込んでもいいし。それでも、堂々と長々と延滞するのは自分の気持ちが悪いので、基本的に期限やルールは守っている。

ただ、いくら自分が暇人でも、500ページや600ページ越えで字が詰まっている本は、ほんとうにぜんぜん読み進められない。図書館の本は破損や紛失のリスクを避けるために外へは持ち出さず、家でしか読まないので、余計になかなか進まない(尤も分厚いハードカバーの本を持ち歩く気にはなれないけれど)。しかし、後ろが詰まっていないので、そのうちにだんだんほとんど自分の本のような感覚になってくる。これまで最長だと、延長して図書館に戻しまた借りて延長して図書館に戻しまた借りて、みたいにほぼほぼ二か月ちょっとの間ずっと同じ本を借りていたこともある。それは宇宙人に関するジョークじみたことを本気の理論を用いて解説しているような真面目な本で、分厚い翻訳モノだったけれど、字は細かいし、行間はみっちり詰まっているし、書いてあることはまあまあ難しいし、読み応えがありすぎて、なかなか難敵だった。ちなみにそれは『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』というソフトカバーの本。これはかなり面白い本なのでこういう世界に興味がある人にはオススメ。ただ読むのにそうとう時間がかかるので、価格は3000円くらいで高いけれど買ってしまった方が気楽に読めるかもしれない。

また『彼らはどこにいるのか』という本もまあまあ分厚く、なかなか難敵だった。書かれている内容は興味深かったけれど、字が小さく行間も詰まっていたし、まあまあ小難しいし、読み終えるまでには時間がかかった。

しかしなかには、ページ数こそ300ページ強でまあまあ厚いけれどそれほど行間が詰まっておらず、適度に読みやすくてそれでいて内容の濃い本もあった。それは『エイリアン 科学者たちが語る地球外生命』というもの。これは適度にサクサク読めるわりに内容がしっかりしていて、読み応えがあった。

こんな感じで、エイリアン関係だけでももっと他にいろいろ読んでいるけれど、こう考えると、ほんとうに図書館の本はお得すぎる。ちょっと読んでみてつまらんかったらすぐ返してまた別のものを借りればいいし(買った本はもったいないのでつまらなくても意地でも最後まで読む派)。とくに、自分がそのうちに読みたいと思ってリストアップしている本は、いちおう図書館のサイト内の自分のページのリストに入れているのだけれど、どの本も表示が「貸出中」になったことがない。実態はわからないけれど、これまで読んできた本の中には、たぶん一年の間に自分しか借りていない本も何冊かあると思う。

といっても、好きな特定の作家の小説や、中に線を引いたり付箋を貼ったりしたい本は所有したいので、全部図書館任せにはできないけれども。それでも、新書とか読み捨て系のエンタメ小説とかだったら、図書館で十分なものもは多い。今は電子書籍の図書館もあって、新書系はなかなか揃っている。ただ電子はまあまあ貸し出し率が高く、空いてない本も多い。それでも、借りられて、読みだしたデジタルの新書などで、メモっておきたいことがあったときは、スクショでパシャパシャすれば問題ない。