書けない漢字のために

読めても書けない漢字というのは多い。しかも中には、書けないだけでなく、読むのは余裕で読めて、書こうとすればなんとなく字面はわかるのだけれど、実際に書こうとすると手も足も出ない漢字がある。たとえば、まあ定番っぽいけれど「憂鬱」とか「薔薇」とか「纜」とか「魑魅魍魎」とか。或いは「窶す」とか「獰猛」とか「繊細」とか。これらは本などに印刷されている字を見ながらでも、細部がわからないので、ちゃんと書けない。コンピュータなどのディスプレイでも10ptや12pt程度では細かい部分までは判別できない。

要は、画数が多すぎるというか、漢字自体が複雑すぎて、ちゃんと書こうと思っても書けない漢字というのが、あんがい多い。それでもまあパソコンとかでタイプする場合は、勝手に変換されるので問題ない。問題となるのは、ノートなどに手書きする時。そういう時、書けなければ、だいたいはさっさとカタカナで誤魔化してしまう。しかし、そうは言いつつ、やはり漢字で書きたい時というのはある。そういう場面では、本や辞書から書き写すなら虫眼鏡を使ったりする。或いは、読めるけれど書けないときは、スマートフォンの文字拡大系のアプリを使って、そこに入力して確認し書き写せば、まあなんとかなる。

しかし、コンピュータを使っている時などに複雑怪奇系の漢字に出くわして、それを手書きでメモったりする場合、ちょっと困る。ディスプレイを虫眼鏡で見るのも変だし、字を確認するためだけにページ自体を拡大するのも、またすぐに戻さなければならないから怠い。かといって、わざわざ電話でアプリを呼び出して入力するのも手間。

そこで、なんか便利な方法はないかな、と思い、考えた。ネット検索してみると、いくつか文字拡大系のウェブサイトはあった。しかし、たかが漢字を見て書くためだけにいちいちアクセスするのも面倒くさい。そこで、ある方法を思いついた。

それはMSでもGoogleでもいいけれど、Web版のワープロのブランクのドキュメントを「文字拡大」とか適当な名前をつけて保存し、常にそのページをタブで開きっぱなしにしてピン留めしておくこと。なんとなく自分はGoogleではなくMSのワードにしているけれど、どのみちGoogleとかMSとかはログインしっぱなしなので、どちらでもいい。その際、そのドキュメントの本文のフォントサイズを最大に設定しておく。

で、自分は今、うちのMacではArcというブラウザを常用しているので、その一枚のドキュメントのタブをサイドバーに常にピン留めしておき、書けない漢字を書きたい時にそれを開き、「魑魅魍魎」とか打ち込むと、くっきりと細部まで確認できる。そして、確認して書き写したら、後は消してもいいけど、また書きそうだったら消さずに残しておけばいい。どうせ自分しか見ない落書きドキュメントだし。

Arcというブラウザを使っていると、用途別にサイドバーでいくつかワークスペースを作り、それぞれで常に各種Webサイトを開きっぱなし状態にしておけるので、こういうこと以外にもいろいろwebアプリの使い勝手が良く、便利すぎてもう手放せない。アップデートは頻繁だし、しかも直近のアップデートで搭載された、簡単にサイト別に色やフォントを変えたり不要なオブジェクトをサクッと消せたりできるBoostという機能はそうとう便利。ま、要素の非表示はこれまででも広告ブロック系のアドオンでできたけれど、今回のは簡単すぎ。