SF

正直なところ「SF」というジャンルの小説には、ほとんど縁がない。日本製なら半村良さんはそうとう読んでいるけれど、「SF」というより「伝奇小説」というカテゴリとして読んでいる。そのへんは高橋克彦さんなんかと括りとしては同じ。

というかSFは、映画のジャンルとしてもそんなに好きではない。「BTTF」も含むなら好きだけれど、「スターウォーズ」なんかよくわからないし、「2001年宇宙の旅」はいつも寝落ちしてしまうし、「ブレードランナー」も退屈で途中で寝てしまう。また、SF系のアニメも、不得意。ガンダムとかエヴァンゲリオンとか観ないし、守備範囲はヤマト、999、ドラえもんくらいまで。

そんな自分が先日、ある古典的SF小説を人から借りて、読んで、ハマった。こんな小説を単なる食わず嫌いで今まで読まないでいたのか、と素直に思った。

そのSF小説とはクラークの「幼年期の終わり」。或るとき或る友だちと「SFってなんか苦手だから殆ど読んだことねーわ」という話をした時「けっこう面白いモノはあるぞ、新訳だから古い小説だけど読みやすいし」と数日後に貸してくれたのが光文社古典新訳文庫版の「幼年期の終わり」。有名な作品なのでタイトルだけは知っていたけれど、どういうストーリーなのかは知らず、とりあえず何の先入観もないまま読み始めた。

で、いざ読み始めたら一気に引き込まれて、まあまあページ数は多い本だったけれど、そのまま数日で読破してしまった。旧作の方は読んでいないので比べることはできないけれども、新訳である本書は、翻訳がとても読みやすかった。そして、読み終わった時、大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、久々に凄い小説を読んだな、という気持ちになった。さすが名作と名高いだけあって、単なる娯楽小説とは思えない、いろいろと考えさせられる深い小説だった。

どこがどうそんなに凄かったのか、と問われても、そういうことを他人に説明することは苦手なので、何も言えないけれど、未読の人がいたら自分がそうされたように「まあ読んでみ」と控えめにオススメすることはできる。とにかく面白かった。