認めざるを得ない

正直、いいおっさんになってくると、知らない歌手の歌にはほとんど手を出さないし、滅多に新しい音楽で心が動かされることもない。でも、ここ一年くらいの間に聴いた中で「これはやられたわ」と認めざるを得ない曲が三曲ほどある。

それは、Official髭男dismの『Pretender』、そしてLiSAの『炎』と 『紅蓮華』。どれも映画は観ていないけれど、一回聴いただけで「やベーな」と感じた。

ただこれらの曲は「何もかもが途轍もなく新しい」という感じではなく、「新しいけど、どこかなんか懐かしい匂いがする」という感じがした。というかどの曲にも、聴く人の心を揺さぶる普遍的なコードが絶妙に的確に埋め込まれている、という雰囲気があって、それが完璧に成功していた。そういう意味で、決して奇を衒ったわけではないスタンダードな楽曲として完成していて、それ故に自分のような世間の流行りに鈍感なタイプの層にまで受けているのではないか、と思った。

とくにLiSAの二曲は、誤解を恐れずにたとえるなら、第一印象として、もしも二十年前なら浜崎あゆみが歌ってミリオンセラーになっていただろうな、と感じた。もちろん馬鹿にしているわけでも貶めているわけでもなく、単なる感想。

また「炎」はゴマキYouTubeで歌っているのを見たけれど、びっくりするほど上手くてビビった。失礼ながらゴマキがこんなに歌が上手いとは知らなかった。というか誰がカバーしてもいいのなら、試しに是非あゆに歌ってみてほしい。完全に浜崎あゆみの歌になってしまうと思う。

ところで、主題歌として採用されている映画もアニメも観ていない自分がどこでこれらの楽曲の存在を知ったかというと、YouTubeのストリートピアノ。最近そのジャンルが好きで、いろいろなチャンネルを観ているのだけれど、たいていの人がこれらの曲を演奏していて、「いい曲だな」と思い、曲名をググって詳細を知る、というパターンだった。尤もYouTubeを経由しなくてもこれだけ流行っていればどこからともなく聞こえてくるけれども。

まあ、いずれにしてもこの三曲はなんかクセになる。

因みに「鬼滅の刃」はコミックもアニメも観るつもりはない。それは別に捻くれているわけでも斜に構えているわけでもなく、ただ単にあまり興味がないだけ。機会があれば観たり読んだりするかもしれないけれど、今のところその予定がない。漫画は取り敢えず「ゴルゴ13」と「名探偵コナン」さえあればいい。
(文中敬称略)