一応は観た

オリンピックなんか全く興味がないし、嫌悪感しかないけれども、開会式の中継は一応観た。ただそれは、別にイベントに期待して楽しみで観たわけではなく、ギリギリまでグダグダしまくった結果、いったいどんなものが観られるのだろう? という方向性の違う期待から。さすがにいくらなんでも一週間前や数日前までゴタつくとは思わなかったから、どうやって辻褄を合わせたのか興味が湧いた。

そして何の感動もなく見終えた。一言で言うなら、締まりのない四時間だった。最後まで揉めたオープニングの演出もしょーもなかった。ナレーションによってなんとなく意味っぽいものが伝えられた薄っぺらいメッセージ性も、何も響かなかった。変な大工の踊りとかTVクルーとかびっくりするくらいイミフだったし、終盤の海老蔵が出てくるまであたりの流れは寒すぎたし、とにかく全体的にそこはかとなくチープでダラダラしすぎだった。それでもドローンだけはすごかった。しかし結局のところ、天皇陛下をこんな場に引っ張り出すな、と思っただけ。

だいたい天皇陛下のスピーチを椅子に座って聞く首相なんて初めて見た。ふざけすぎ。バッハ如きが陛下と同時のタイミングで出てきて、しかも並んで座るとかも、ナメとんのか、と。橋本聖子の誰に向けて喋っているのか意味不明な長過ぎるスピーチにもドン引きだったし、延々と喋り続けていたバッハなんかには、もう黙れ、としか思わなかった。逆にいうと、天皇陛下の素晴らしさだけが際立ったイベントだった。

まあ五輪に関しては、もう何か言うのも馬鹿馬鹿しいくらいアホくさい。こんなものに散々振り回されてきて、これが終われば漸く解放されるかと思うと、喜びの感慨しかない。

ただ最初からわかっていたことだけれど、来日した外国人に対する管理がザルすぎて、笑える。やりたい放題やられていて、案の定関係者にも陽性者がどんどん出て、東京都の感染者数は忖度なしの右肩上がりで、終わる頃にはどうなっていることやら。

しかし、今回のオリンピックでは、ほんとうにこの国のクソみたいな部分が容赦なく曝け出されて、それだけは良かったと思う。引退して体制側に取り込まれた元アスリート共が想像以上にクソというのもよくわかったし、IOCJOCという組織が腐りきっていることもよくわかった。とくに大会組織委員会という組織のデタラメぶりは庶民の想像を遥かに超えていた。

もうこの国では二度とオリンピックなんかやらなくていい。

それでも、時代の共有感みたいなものは獲得できたと思う。ジジイになった頃に、「そういえば昔、東京オリンピックってあったよな」という話になった時、「あったあった、あの史上最低なオリンピックな、あれは酷かったわ」と共通認識のもとで会話が弾むはず。