二季

年が明け、もう一月なので当たり前なのだけれど、年末年始以降、まあ毎日ふつうにめちゃくちゃ寒い。感覚的に、なんか去年より寒くないか? と思う。そして、すっかり冬だな、と感じると同時に、ところで秋はいつあった? とも思う。確かに紅葉がどうのこうのという時期はあったけれど、いつまでも夏が続いていてそれが漸く終わったらすぐに冬がきた、という感じで、いかにも秋らしい秋、という季節感をあまり感じないまま、気づくと冬になってしまっていた。同じように、シンプルに体感として春も非常に短く、冬が終わるとすぐに夏がきた、という感じを毎年抱く。

結局、この国には四季というものがあるということになっているものの、実質的には二季という感覚。というか、もはや一年の半分以上は夏で、残った分の七割くらいを冬が占め、その余りを春と秋で少しずつ分け合っている雰囲気がある。要するに、一年のうちの半分以上が暑く、クソ寒い時期が三ヶ月ほどあって、残りのわずかな期間がまあまあ快適な季節という感じ。

個人的に、去年は夏と秋のちょうど境目くらいで体調を崩したこともあり、とくに秋の存在が希薄だった。入院中は半袖のTシャツに短パン姿で過ごし病棟はクーラーが効いていたくらいだったのに、退院してちょっとしたらもう長袖が必要になり、最初の外来の時には既に半袖の上にデニムの上着を着て行ったし、11月の後半にはもう家の中ではフリース、外では冬の上着を着るようになり、なんだか滑り落ちるように冬になった。そして12月の外来は革ジャン、1月の外来は今週もう済んだけれど、ダウンのコートを着て行った。

この後、おそらく例年通りなら、一月二月の二ヶ月ほどはクソ寒く、しかし二月の後半あたりから急に寒さが緩んで冬が終わっていく。もちろん同じ日本国内でも北の方は違うだろうけれど、関東から西の太平洋側はそんな感じではないかと思う。ということは、やはり実質的な冬は三ヶ月ほどしかない。そうして四月にはもう夏日の日なんかも現れ出して、なし崩し的に夏に突入していく。

ただ個人的には「めちゃくちゃ寒い時期」というと「三月の夕方」というイメージが強い。なぜかというと、高校の時、理由は覚えていないのだけれど何かのペナルティとして三学期終わり頃の放課後に一週間ほど毎日学校の周りの掃除をさせられたことがあって、そのとき死ぬほど寒くて参った。その記憶が強烈なので、三月の夕方は寒い、というイメージが消えない。まあたぶん実際に三月の前半はまだなかなか寒いのだろうけれど。

暑いのは大嫌いだけれど、寒いのも嫌だ。個人的には、夏冬以外の春秋だと、春よりも秋が好きなので、もう少し秋の期間を長くしてもらいたいところ。春は、温かいのは快適だけれど、ちょっと動くとすぐに汗をかいてしまう。その点、秋は適度に涼しくて、ちょっとくらい動いても汗をかくところまではいかない、この微妙な塩梅がかなり好み。なんというか、暑さ寒さに対して、上着を脱いで調節するより、上着を着て調節する方が、良い。

しかし、年が明けた途端、まるでクリスマスから正月にかけての年末年始の休みの終わりに合わせたかのような新コロの感染爆発にはちょっと驚いたけれど、その事態に対する行政の相変わらず過ぎるアタフタ振りには、馬鹿じゃねーの? としか思わない。必ず第6波は来る、とか言いながら、気が緩みまくっている世の中のムードを引き締めようともせず、年末年始に国民をさんざん放し飼いにしておいて、今更シリアスな顔をして何か言っても何の説得力もない。ちょっと感染者数が増えてきたら馬鹿の一つ覚えみたいに、飲食店の営業時間を縮めたり、一テーブルあたり何人までと人数制限かけたり、ド素人の自分のような人間からしても、そんなの意味あんの? としか思わない。店を一時間早く閉めたり、テーブルにつく人数を減らしたりすれば、ウイルスは手加減してくれるのかいな、と。もうここまでくると、ひとり客しかいないカフェのような店でも、中に誰か新コロのキャリアがいたら、営業時間や客の人数なんて関係なく、同じ空間にいるだけで感染するときは感染してしまうような気がする。案の定、ワクチンに感染を回避できる効果なんか全くないし、えらく強気に導入したなんちゃらパッケージはどうするつもりなんだか。

何はともあれ、オミクロン株の感染力の強さ、そしてまるで倍々ゲームのような感染拡大のスピードは凄い。