だらだら

年末年始は徹底的にだらだらしているうちに終わった。大晦日には実家へ行き(もともとこの頃はしょっちゅう行っているので『帰省』という概念は全く適用されず他人から文句を言われる筋合いはない)、三ヶ日を殆ど家から出ずに過ごした。

毎年行っている初詣も、全く行っていない。例年なら外食も兼ねていくつか神社仏閣をハシゴするくらいだけれど、ゼロ。オンラインのライブカメラで、いつも行ってるメインの神社のガラガラな様子を見た時は(こんなことは生きているうちにもうなさそうだから行きたいな)とチラッと思ったけれど、我慢した。というかそこそこ有名どころはどこも屋台が出ていないので、それだけで閑散とした雰囲気になる。因みに友達とかとも全く誰とも会っていない。

しかしこの自粛感は、別に政治家共の要請に素直に従ったわけではない。テレビに危機感を煽られたわけでもない。はっきり言ってあんな連中の言うことなんか聞く気はさらさらない。とはいえ、だからといって、(お前らがいい加減なのに従うわけねーだろ、おれらも好き勝手にやるわ)とは思わない。それは別に自分が正義感を振り翳して自粛警察化しているわけでなく、ただ単に(うちは親族に病人や老人を何人も抱えていて、なかには油断ができない重篤な状態の人もいるし、いま病院にバンザイされるとマジで洒落にならなず困るので、政治家なんぞが何を言おうと関係なく、うちにいた方がいいならうちにいよう)と自分の判断で思ったからどこにも行かなかっただけ。そもそも「政治家やテレビに言われたから言う事を聞いた」と考えると腹が立つし、言う事なんか聞きたくなくて当たり前。だから自分の意思でそう考えられる人しか自粛なんかしないに決まっている。だいたい何の権力も影響力もないパンピーの自分に、新コロ対策で世界に貢献できることなど何もない。せいぜい家にいることが多少なりとも有効なら、まあそれくらいならできる。というかそれくらいなら猿でもできる。

ま、厳密に言うと、全く家から出なかったわけではない。大晦日は買い出しに行ったし、元日は庭くらいには出たし、二日には歩いて近所のコンビニへ行ったし、三日は買い物があったので車でモールへ午前中にサクッと行ってきた。ただ、モールもガラガラだった。やはり、なんやかんや言いながらけっこう多くの人が外出を控えているっぽかった。

しかし、ずっと家にいるのはヤバい。メシもおやつも風呂も、何も言わなくてもゴロゴロしているだけで勝手に出てくる。洗濯物も籠に放り込んでおくと、そのうちに綺麗になって畳まれて戻ってくる。これはマジで人間がダメになる。どうしても必然的に食っちゃ寝・食っちゃ寝になるから、油断したら簡単にブクブク肥る。

で、その暇過ぎる休日、何をしたかと言うと、まず自分の物と実家のMacBook ProのOSを Big Surにアップデートした。それから、ちょっと前に一挙に再放送されたものを撮り溜めておいた『テンペスト』を一気見したり、もう何度目かわからんけど本棚にあった『地の果て 至上の時』を読んだりして、とにかくだらだらした。

なんとなく、来年もそんなに状況がマトモに好転している予感は正直あんまりないけれど、今年の窮屈きわまりない正月でも、ただひとつ良かったこともある。それは、親戚とか誰にも会わないから、誰にもお年玉をやらなくて済んだこと。大した額ではないけれど、確実にカネが浮いた。