そんなにどこかへ行きたいものなのか?
ここ数日のGo To トラベルキャンペーンを巡るドタバタは相変わらずお粗末で未練がましくてアホくさい。やらないよりは若干マシ程度の今回の東京都発着除外は批判ムードのガス抜きのための苦肉の策っぽいけれど、これをやると、実質的には東京都だけでなく関東圏からの利用がほぼ無理になる。まあ、宿泊施設だけ手配するなら近郊県の人らはセーフだろうけれど、交通機関込みのパック旅行となると、ほとんどが東京駅や羽田空港発だろうから、東京近郊の県まで巻き込まれてアウト。でも上限2万の割引キャンペーンを適用させないだけで、旅行そのものを自粛させるわけではないから、行きたい人はどこへでも行ける。
また更に追加で「若者・高齢者の団体旅行は割引対象外」とかも言い出しているけれど、もうめちゃくちゃというか無理やりすぎて笑うしかない。そもそも交通機関代込みの場合、団体旅行以外の個人のスケルトンツアーみたいなものが割引対象になっているのかどうかよくわからないのだけれど(最初からこのキャンペーンを使う気がないので内容をよく知らない)、もしも最初から個人向けパッケージツアーが対象外だった場合、ヤングと年寄りの団体旅行がダメになると、いったい誰がどんな旅行に使えるんだ? という疑問が湧く。(追記:ソッコウで撤回したらしい)
しかし「兆」という単位のカネを使う事業がこんなに行き当たりばったりでいいのだろうか、と不思議に思う。もともとあちこち亀裂が入りまくっている水道管なのに、誤魔化し誤魔化し使い続けて、やがて水圧に耐えられなくなった部分から次々に開いていく穴を場当たり的に塞いでも抜本的な解決にはならない。そのうち吹っ飛ぶ。
ただまあ、自分も旅行はわりと好きな方だけど、今はちょっとどこへも行く気にはなれない。だいたい、なんやかんや言っても世の中の状況と雰囲気が悪くなって移動が制限(現実的・心理的)されるようになってまだ半年だし、べつに監禁・軟禁されているわけでもないし、そんなに不自由感もない。そもそも、報道とか見ていると、みんな元々そんなに四六時中旅行のことを考えるほど旅行なんかしてたのか? と疑問に思う。それに、何度も書いてる気がするけれど、旅行なんて心身共に問題なく余裕がある時にするもので、無理してまで行くものでもない。それに、行くなら財布と相談しながら自分が行きたい時に行きたいところへ勝手に行くから、国なんかからアレコレ言われたくない。そして何も「一生動くな」と言われているわけでもない。そのうちにはまた旅行くらい自由に行けるようになる。というか行けるようにならなければならない。地球にはお利口な人がたくさんいるから、いつかきっと克服できる。だから、今くらいちょっと我慢すればいいのに、というのが個人的な感覚。とはいえ、まあ行きたい人は行けばいいとも思うけど。移動の自由は憲法で保障されている。自分は行かないだけ。
もしもどうしてもどこか非日常的なところへ行きたくなったら、近場の温泉や都会の良いホテルにでも泊まってくればいい。こんな誰も彼もが疑心暗鬼になっているような危なっかしい状況下で何も無理に遠くへ移動する必要はない。東京の人だったら都内の観光地を巡ったり高尾山にでも登ったりしてコンラッドとかペニンシュラとかに泊まってみればいい。実際、自分なんかでも、県内だけれど車で片道百キロ弱の近場へ出かけてはいる。人気店でいつも混んでいる鰻屋も行ってるし、友だちと人気のない山奥の河原でバーベキューもやった。それくらいでも気晴らしにはなったし楽しかった。もちろんみんなピンピンしている。仮に、この程度ですら批判されるなら、もう人間の生活を放棄しているとしか言えない。そういえば鰻屋で、山椒が喉についてちょっと派手に咳き込んだらそこにいた店中の客の視線が一気に集まったのは笑った(笑っちゃダメか)。
ただそれでも個人的には、後々のことを考えると、遠くへの不要不急の移動はちょっとリスクが高いように感じる。新コロの感染はもちろん怖いけれど、それよりもっと心理的な面で日本は所詮ムラ社会だから「自分が持って行った」「持って帰ってきた」となった場合、誰も好きで感染するわけでもないのに、袋叩きにされそう。正直なところ、ワイハやグアムは論外としても沖縄くらいなら(大丈夫じゃねーの?)という気がしないでもない。理論上は、感染者がそこにひとりもいなければ、三密なんか完全無視しても何も問題はない。たとえノーガードのまま大人数でドロドロの乱交パーティをしても新コロには罹らない(別の病気にはなるかもしれないけど)。しかし現実的にはその「ひとりもいない」という証明が不可能だから話は簡単ではなく、沖縄の場合、米軍基地での感染拡大のニュースなんかを見てしまうと、ちょっとなー、と躊躇してしまう。米兵はずっと基地内にいるわけではなくゲートの外へ出てくるし、基地に勤めている日本人もいる。なので、たぶん大丈夫だろうとは思うけれど、無自覚のままこちらが運ぶというより、貰って帰ってきてしまうかもしれないという懸念が払拭しきれない。だから、沖縄に限らず、まあ今はやめておこう、という結論になる。尤も自分の場合は、そこまで考えることもなく、もっと前提的なものとして、病院の入院病棟の実質的なロックダウンが解除されていない以上、個人的に一日も早くこの新コロ騒動は終息して欲しいから、少しでも拡大の可能性があるというなら、なるべくそういう行動は回避したい。自分ひとりがそうしたところで社会全体に対する影響はゼロだろうけれど、たぶんこういう感覚は身内が入院している人たちなら同じだと思う。老人や重篤な病人や妊婦さんを病院に入れている人は、みなさんほんとうに困っているはず。
もちろん、ウイルスを自分が持っていないという確信もない。おそらく感染はしていないと思うけれど、証明しろと言われたらできない。これはもう所謂「悪魔の証明」で無理。実際、もしも自分が無症状の感染者だったら、と想像してみても、正直どうしたらいいかわからない。
というか旅行推進派の連中はまるで錦の御旗のように「経済回すために必要」というけれど、キャンペーンで安くなったから旅行するような人らがどこかへ行ったところで、そんなに景気良く現地でカネを落とすかな? と思ってしまう。
そしてこの後に続く予定らしいGo To 「イート」や「イベント」なんてやる前から大失敗というか大爆死で終わるだけの未来しか見えない(「商店街」だけはちょっとカネの撒き方が違うっぽいから効果は不明)。このふたつは旅行以上に業者の中抜きに無理がありそう。まだ計画段階で損はしていないだろうから、大火傷しないうちにやめたほうがいい。とくに「イート」なんてメシ食う度にショボい食事券や千円やそこら分のポイントのためにいちいち予約サイトを通すなんて面倒くさすぎる。
というか、もうポイントとかクーポンとか、ひたすら面倒くさい。