仕方ない

基本的に物持ちの良い自分。別の言い方をするなら、要は貧乏性なので、滅多にモノが捨てられない。とはいえ壊れたり劣化したりしたモノが安物ならけっこう躊躇なく捨てる。それでもたいてい一度は(なんとかならんものか)と思案する。そして直せるものは直す。

そんな自分でも(これはもう仕方ねーな)と潔く諦めて捨てるモノがある。たとえば加水分解したスニーカー。これはもうどうしようもないので、泣く泣く捨てる。古いエアジョーダンとかエアマックスが盛大に崩壊した時はそうとう落ち込んだけど捨てた。

あと、ブランド物でも「これだけはダメだわ」と諦めて捨てているモノがある。基本的にブランド物は元の値段が値段なのでかなり執念深くなんとか直そうとするのだけれど、と或るブランドだけは、壊れるというより劣化するともうどうしようもなくて、これまでに財布とバッグを捨てている。

そのブランドは、ハンティングワールド。中でもバチュークロスという生地が使われているモデル。バチュー以外のバッグは今でも十年以上モノが普通に長持ちして使えているし、このままいけば一生使えそうだけど、バチューはダメ。これが劣化すると、もう修復不能。ボロボロになってベロンベロンとみっともなく剥がれてくる。

尤も、直そうとするなら、全面的に張り替えるという方法はある。正規店で正規にバチューを張り替えてくれるかどうかは知らないけれど、街のリペア屋さんとかでバチュークロスの部分を革に張り替えるというサービスはある模様。しかし、ネックは値段。どう考えても、買った新品の時の本体の値段より高くなりそうで、流石にそこまでする気はない。

だから、これまで泣く泣く捨ててきた。ま、財布は1万か2万くらいだっただろうし、バッグは小型なので多分3万か4万かそれくらいのモノだったと思うけど、それでも貧乏性の自分としては捨てるのが忍びなかった。でも、どうしようもないので諦めた。

ただ一応、自分でなんとかしようとするなら、というかもう格好悪くなって外へは持ち出せなくなるだろうけれど、家の中で小物入れみたいに使おうと思えば使えないことはない程度に直すというか、どうにかする方法はある。しかも、タダで。

その方法とは、自力でバチュークロスを全部剥がすというもの。実際にやったことはないのでうまくいくかどうか責任は持てないけれど、要は加水分解してベタベタになったバッグの内張りとかを剥がすのと同じ要領で、ゴシゴシと重曹等を使って削ぎ落としてみるとどうか、と。たいていのバチューの下は似たようなグリーンのナイロンのような厚手の地だと思うので、綺麗に剥がすことができれば、ナイロン製のバッグとして再生はできそう。ただ、見た目が貧乏臭いし、もちろん防水性は失われるし、そもそもバチュークロスが完全に全面的に劣化していれば簡単に剥がせるだろうけれど、けっこうなんともないところはなんともなかったりするので、うまくいくかどうかはわからない。ただ、あのボロボロ加減の感触だと、もしかしたらちゃんとしていそうな部分でも、別に重曹を使うまでもなく、適当にクシャクシャと皺だらけにするように揉み込んで摘みあげれば、案外あっさりベリベリと剥離しそうな気もする。

というか今でこそこの「剥がす」という方法が思いつくけれど、当時その発想はなかったから、かなり未練があったけど捨ててきた。だから「剥がす」という発想がある今なら、もしかしたら試すだけは試してみるかもしれない。まあ、それでも財布は内側のヌメ革まで痛んでいたのでそのまま捨てたと思うけど、バッグの方のボロボロ化は表面だけの半分以下だったので、なんとかなるならなんとかしようとしたと思う。

因みにこの「劣化部分を剥がす」という後ろ向きのセルフリペアは、ヴィトンの小銭入れで実践済みで、一応成功している。モノグラムのモノなのだけれど、表面は所詮ビニールなので全然普通なのに、内張の革が劣化してベタベタになってしまったモノがあって、その内側の革のコーティングを重曹で削ぎ落とした。そうしたら思っていたより簡単に、しかも綺麗に全部剥がせたので(もちろんコーティングがなくなるのでヤワくはなったけど)、二軍で現役復帰。その小銭入れは、普段使いはしていないものの、外からの見た目は全く普通なので、神社仏閣の賽銭用の小銭入れとして使っている。因みにコーティングを剥がした革の部分はスエードみたいな感じ。

しかし、話は全く違うけど、この日々感染者数が首都で増加している状況で、本気で「Go To トラベル」をやるとは頭がおかしいというか、もはや国家の頭の脳味噌の皺は消滅しているとしか思えない。ちょっと外人は入れんほうがいいだろとみんなが思ってるのに春節ウエルカムしやがり、給食マスクなんぞ要らんと言っているのにドヤ顔で配り、十万やるとドヤ顔で言いつつ結局ボーナス日を過ぎてもまだ届かず、で、トドメを刺すように「今こそ動かんでくれ」と多くの人が思っているのに「自粛すんな、動け」と焚きつける。もうやってることがめちゃくちゃ。百歩譲って、春節ウエルカムはもう入れちまったのだから今更ああだこうだ言ってもどうしようもないし、マスクと十万の遅れはたいした実害がないからいい。しかし今回の新コロ拡散キャンペーンは、国民のこの半年近くの全ての我慢を無にかえしてしまいかねない。これまでは給食マスクが世紀の愚策だったが、このゴーツーはそれを軽々と超えた。頭の悪い人が唱える念仏のように何かというと二言目には「経済回せ」というけれど、庶民を旅費の半額補助(カラクリ有りだけど)で釣って別にわざわざ他所の土地へ行かせなくても、買ったり食ったりするだけなら、移動なんかせずに住んでる自分たちの町の近所でやればいいだけ。そもそも庶民が旅行したって製造業など大きな企業のカネが大きく動くわけでもない。

確かに正直にいえば、そろそろどこかへ行きたい気持ちはある。しかし個人的な事情で呑気に楽しく出かけられるような気分でも状況でもないし、こうなったら意地でもどこにも行かない。そもそもこのクソ暑い最中にマスクして旅行なんぞしたくない。

というかこのキャンペーン、ちょっと調べてみたら案の定クッソ面倒臭そう。

japan-railway.com

なんかわかりにくいけれど、どうもいったんふつうに支払ってから申請すると補助の分が戻ってくるっぽい。どうせやるなら、どうして予約した時点でサクッと引けないのか。仮に何処かへ行くかもしれないとしても、こんなものどのみち使わない。まったく、こいつらのやることは、何をするにしてもわざと話を面倒臭くしているとしか思えない。

それにしても、マスクに何百億、旅行に何千億(追記: 兆だった)……とほんとうに気前の良い国だ。

ただ、この手のことを好き勝手に書いても何処かへ連行されて監禁されたりしないだけ、まだどこぞの国よりはマシだけれども。