危機感故

いい加減に、未読状態をなんとかしないと、一生読まないのではないか? という危機感を覚えて、ちょっと前からとりあえず読み始めている積ん読本。

『レイテ戦記 上・中・下』全三巻。

奥付を見ると、三十年近く前の日付が印刷されている。これは本屋で三冊まとめて新品を買った記憶がなんとなくあるのだけれど、この奥付通りの年だったかどうかは自信がない。というか多分違うと思う。単純に、三十年前にこんな本を買うとは思えないし、ぶっちゃけそんなに売れる本でもないと思うので、刷られてから何年も残っていたものを買った可能性が高い。それでも二十年は前くらいからうちの本棚にはいらっしゃる気がする。

どうしてこれを買ったのか、記憶ははっきりしない。ただ、今でもだけれど、自分はもともと旧日本軍の南方戦線になぜか妙に興味があるので、その興味の延長で入手した気はする。もちろん買った時は、すぐ読むつもりだっただろうし、分冊モノはどんな本でも最初にまとめて買う派なので、全部続けて読むつもりで入手したはず。しかし、なんか一冊目の半分あたりに栞が挟まったままだったので、どうやらそのへんで挫折したっぽい。とはいえ、そこまでの内容も全く記憶にないので、今回、改めて最初から読み始めた。

それでも、いつ読み終えることができるのかさっぱり見当がつかないし、そもそも読破できるかどうかも自信がない。「戦記」なので「小説」とは言い切れないっぽいし、かといって「ルポタージュ」や「ノンフィクション」ともなんか違う。字は細かいし、文章も硬質で緻密だし、まだ新字新仮名であることは救いだけれど、なかなか読みにくい。今、どうにか栞が挟んであったあたりまで読み進めているのだけれど、ゴールは果てしなく遠い。たただ読みにくいといっても、たとえば谷崎の「鍵」みたいなカタカナと漢字の文章に比べたらだいぶマシ。「鍵」とか「老人日記」とか、あのへんは分量のわりになかなかスムーズに読み進められない。読んでいてイライラしてくる。カタカナと漢字の文章は最悪。

文体はともかく、内容的にもこの本だけをずっと読み続けるのは大変そうというか苦行っぽいので、ときどき中断して別の本を読みそう。なので、いつ読み終えることができるのか、全くわからない。とにかく、こいつは相当な難敵っぽい。正直、またどこかの時点で挫折しそうな気がしないでもない。