このところ妙に

たまたまなのだろうけれど、自分の周りで、ガンになったという人の話を聞く機会が多い。親戚のおじさんも手術したし、意外に目立つのが比較的自分に近い年齢というか、ちょっと歳上の友人関係。なかでもひとりは亡くなってしまったし(信長の時代じゃあるまいし早すぎる)、別の人は何ガンかはこんなところには書かないけれど、どこか痛いとか自覚も何もなくたまたま別の健康診断みたいな検査を受けたら腫瘍が偶然見つかったパターンのステージ2。まあこの人は転移もなく手術で切ればひとまず安心らしいから「入院して切ってくるわ」と言っていて悲壮感は感じさせないようにしていたけれど、内心では当然いろいろ思うところがあるだろうし、こちらとしてもそんな話を聞けばびっくりするし、やはりショックを受ける。ただ、辛気臭くなっても相手に失礼だし、自分もガンではないとはいえ世間のイメージ的にはほぼほぼ同ランクのまあまあシリアスな病気をしているので、冗談めかしながら「晴れて大病仲間っすねw」みたいに笑い話にして「娑婆に戻ったら入院生活について語り合いましょうw こっちはこっちでめっちゃネタありますからねw」といちおうは励ましたけれど、それくらいしか他人にできることなんかない。

ちなみに自分の病気に関しては、緊急入院だったので事前の知識は完全にゼロ状態。なので病名を告げられても「はあ? マジか?」と思うだけで実感が全く湧かず、なんか他人事。で、そのまま入院となり、救命救急病棟で一晩過ごした後、一般病棟へ移動し、あとはひたすら連日、体中を検査しまくられ、主治医の回診の際の説明以外は何の情報も入れず、俎板の上の鯉状態で過ごした。しかもバリバリのコロナ禍だったので見舞完全NG。ただ病室にWi-Fiが飛んでいたので、落ち着いてからは人に自撮りやメシの写真を送ったりチャットしたり電話したり、まあ自由はあったけれど。それでも着の身着のまま入院したので(着替えとか携帯の充電器とか最低限必要なものは後から親に家から持ってきてもらったけれど)、イヤホンを持っておらず、音は出せなかった。最近の携帯はイヤホンジャックがないので有線の安物を院内のコンビニで買えない。とはいえ、さすがにテレビや動画を観たり音楽を聴いたりする気には全くなれなかったので、べつに音が出せなくても支障はなかった。そもそも、予定外の入院だったので、携帯のバッテリーも残りが充分ではなく、充電器も持っておらず、救急病棟で夜中に眠れずにいたら看護婦さんが来て「眠れませんか?」と訊かれ、「ぜんぜん寝れませんw」みたいにこたえたら、「他に誰もいないし携帯見ててもいいですよ」と言ってくれたものの、「もうバッテリーが残り20%とかなんですよね」とこたえたら、「じゃあ充電器持ってきますよ」みたいに言ってくれて、ナースステーションから充電器とケーブルを持ってきて貸してくれた。しかも「今夜は暇なんですよねえ」みたいにそのままベッドサイドで雑談までしてこちらの気を紛らわせていってくれた。

そんな呑気な自分でもさすがに入院生活を送るうちに(まあまあヤバいんじゃね?)みたいな危機感を否が応でも意識させられ、退院してからは、病名でネット検索はした。だけれども、見たサイトはいろんな大学病院とかのオフィシャルだけで、個人の闘病記系ブログとかは一切無視。あと、図書館でちょっと専門書的なものを借りてきて読んだ。なので、そのガンになった先輩には、ガンではないけれど大病の先輩として(年下のくせにややこしいうえに偉そうw)、やたらネット検索したくなるだろうけれど、がんなら国立がんセンターとか名前の通った大学病院の研究科独自のサイトみたいな学術的なところとか以外は見ない方がいい、とアドバイスしておいた。自分の病気もある意味ではそうなのだけれど、ガンなんてそれ以上に顕微鏡レベルの良い顔つき悪い顔つきみたいなめちゃくちゃ微妙でセンシティブな世界で、治療法も結果も個人差があって人によって全く違うので、他人の例なんて当てにならない。

まあ、いちばんいいのは一切ネット検索なんてしないことだと思うけれど、これをするなというのは無理。自分もしたし。ただ病気に関してネット検索するとたいてい悪い方悪い方へと想像力が逞しくなってしまうので、ほどほどのところでやめておいて、気になることは主治医にちゃんと直接訊いたほうがいいとは思う。

ただまあ正直、病気に関しては、結局のところいろんな意味で「運」としか思えないけれども。