最近、別々の女子から、別々のシチュエーションで、ほぼ同じことを呆れ気味に言われた。
「あんたって、ほんと気が利かない男」
三日連続で三人の女子から、それぞれ状況と理由は違ったけれど、見事なまでに同じことを言われ、さすがに三人目に言われたときは笑ってしまった。
「何、笑ってんの？」
「いや、三日連続、三人目だ、そう言われたの」
「だって、ほんとのことじゃん、なんでそんなに気が利かないわけ？」
「そんなに気が利かないか？ おれ」
「利かない、これほどまでに気が利かない男はそうそういない」
「まるで褒められてるみたいだ」
「ぜんぜん褒めてない」
「ていうか、やたら気が利くおれなんて、それはそれで変だし、気持ちわるいだろ」
「はいはい」
自分としてはとくにそういう自覚はないのだけれど、別々の三人が三種類の違う状況で同じことを言うくらいだから、たぶんそうなのだろうな、とは思った。それでも、その都度、責められた状況に対して、自分なりの理由を述べたのだけれど、三人が三人とも「そんなのは、都合のいい、ただの言い訳」と断じて、斬り捨てられてしまった。
ただそう批判されても、自分的には困ってしまう。言ってくれれば、気くらいはいくらでも利かせる。なので寧ろ「言ってくれよ」と思うし、実際に「言ってくれりゃええやん」と反論すると、「いちいち言わなくても、ふつうはそっちから、手伝おうか？ とか言うものでしょ」と逆に諭すように言われてしまい、何も言い返せなかった。
そんなことが立て続けにあったので、さすがに（女子にはちょっと意識して気を利かせてみるか）と一瞬だけチラリと殊勝に考えたものの、（でもたぶん無理だろうな）とさっさと諦めた。
