やる気

もちろん人によるだろうけれど、いわゆる「やる気」ってなかなか自然には湧いてこないものだと思う。少なくとも自分はそう。もともとそうだし、退院してきてからは、とくにその傾向が強くなった。もう体調はべつに悪くなく(数値的にもとくに問題はなく)、ふつうに暮らしてはいるのだけれど、とにかく何をするにも、どこへ行くにも、まずは億劫さが先に立ってしまう。「やる気」が出るとか出ないとかではなく、(なんか面倒くさい)とか(なんか怠い)とか、そういう気持ちが常に根底にある。

しかし、「やる気」があろうがなかろうが、最低限やらなければならないことは、ある。そういう時、どうするかといえば、仕方ないので、とりあえずそのやらなければならないことに着手してみて、しばらくは我慢して嫌でもやり続けてみる。そうすると、それでもダメなことはあるけれど、あんがいそのまま流れを掴んで無理矢理乗っていけてしまうことが少なくない。要は、動機やきっかけはどうであれ、やってしまえば結果オーライ、という感じ。

これは、旧いオートバイの押しがけみたいな感覚。セルもキックもダメな時に、クラッチを切って車体を押して走りながらエンジンを掛けるアレ。「やる気」の起動もそれに近いものがありそう。

一般的に「やる気」が出ない時に関しては「やる気スイッチ」という言葉があって「それを押す」なんてよく聞くけれど、個人的に「やる気」にスイッチはない気がする。仮にあったとしても、電気のスイッチを入れるみたいに簡単にオンとオフができるなら誰も苦労はしないから、なかなか難しい構造になっていそう。というか、「よし、やるぞ!」と奮い立つのは、まあまあ簡単。問題は、実際にそれをやるかどうか、そして、やり切れるかどうか、だと思う。だから自分の場合は、もしもスイッチがあったとしても、単にそれを押すだけではたぶんダメで、無理矢理にでもちょっと動いてみる必要がありそう。