今更どうにもならん

と思うのが、箸の使い方。一応、持ち方は子供の頃に家や幼稚園でけっこう叩き込まれた(とくに幼稚園は寺の経営だったからかなんかやけに躾みたいなのはしっかりしてた気がする)ので、まあそんなに恥ずかしくはないと思っているけれど、いかんせん上手く使えない。要は、持ち方はマシだけど、ヘタクソ。そして、意識していればいいけれど、油断すると、更に使い方が怪しくなる。

ただ、怪しいといっても、持ち方だけは身に付いているので、大きくは崩れない。握り箸みたいな変なことにはならない。しかし上手く掴むことができなくなってくると、だんだん持つ位置が下がってきて、気づくと箸の真ん中より下を持っていたりする。で、そのことに気づく度に上方で持ち直す。

そんなタイプの自分なので、以前、笑えることがあった。友だちと夜釣りに行ったときのことなのだけれど、徹夜で釣りをして朝方に納竿し、海辺の小さな町の小さな喫茶店へ行った。その店は近所の人たちの溜まり場になっているような店で、モーニングをやっていたので、入った。喫茶店のモーニングといってもトーストとハムエッグみたいなものではなく、ご飯と味噌汁とおかず的な和風の朝定食みたいなものだった。

で、友だちとふたりで食べていると、手の空いた店のママさんが「お兄さん、外人さん?」と話しかけてきた。「いやいや、バリバリの日本人っすよ(苦笑)」と答えると、「そうよねえ」と笑った後、「なんか箸の使い方が外人さんみたいだったから、こんな田舎に外人さんが何しに来るのかしら、と思っちゃった」みたいにママさんは言った。その時の自分は、徹夜で顔が浮腫み気味だったので、大きなサングラスをかけていて、おまけにぎごちない箸の使い方だったから、国籍不詳に見えたらしい。その遣り取りを見て友だちは笑っていた。

因みにその友だちは、箸は左手で操る。でも、そいつは野球をやっていたのだけれど、右投げ右打ち。どちらでもいけるらしいけれど、基本的には右利き。しかし箸だけは、後から矯正して右でも使えるようになったものの、左の方が得意らしい。それで、かなり昔、なんか理由はあんの? と訊いたことがあり、その解答が明快だった。というのも、そいつには姉ちゃんがいて、小さい頃、食卓ではいつも向かい合って食べていたので、箸も見様見真似で使いだした結果、左利きになったらしい。つまり右手で食べる姉ちゃんを鏡のように見て真似たので、自然と左手で使うようになったとのことだった。それを聞いて、なるほどな、と感心した記憶がある。尤もそれに気付いた親が直させたので、右でも使えるようになったらしいけれど。

自分の場合、その友だちとは逆のパターンで、実は何気に後付けで左手でも箸を使えたりする。とはいえ、かなりぎごちなく、使おうと思えばなんとか使えるというレベルで、ふだんは使わないけれど。何故左手でも箸が使えるかというと、これは、右手の指を骨折した時、一ヶ月くらいギプスで固定していて全く使い物にならなかったので、必要に迫られて左手でもモノが食べられるよう練習をしたから。その成果として、豆を摘むとかは難しいけれど、うどんやラーメンくらいなら今でもなんとか食おうと思えば食える。

ただ、箸はなんとかなったけれど、字を書くことは結局ダメだった。一応はボールペンとかで書くことを試してみたけれど、蚯蚓が這ったような文字らしきモノしか書けなかった。