犬とか狸とか

「あんたってさ、好みの女の顔の系統が、露骨にわかりやすいよねw」

或る日、女子の友だちから、雑談の中で、唐突に言われた。

「そうか?」
「うん」
「別に系統なんかなくね?」
「あるw っていうか、憧れるみたいなタイプと、実際に好きになるというか仲良くなるタイプがさ、違いすぎるんだよw」
「意味がわからん」
「要するに、好きな女優とか絶対に手が届かない女と、現実的に手が届きそうな女で、好きになるタイプがぜんぜん違う」
「おまえに何がわかるんや? おまえはおれのお母さんか?w」
「お母さんじゃないけど、わかるw」
そう言って、妙にドヤ顔で、続けた。
「憧れるタイプはネコとかキツネ系のシュッとした美人系の顔、でも現実的に好きになるタイプはイヌとかタヌキ系のポチャっとした、どちらかというとかわいい系の顔、なんならちょいブサまであるw」
「ああw」
「でしょ?w」
「確かに、否定はできんかもしれんw」
「めっちゃわかりやすいんだよねw 傍から見てても、ああこの子好みだろうなとか、得意じゃないタイプだろうなとか、すっごいわかる」
「顔とか態度とかに出とる?」
「っていうか、あんたの趣味を知ってるから無意識のうちにそういうフィルター越しに見ちゃうんだろうね、だからなんとなくわかる」

確かに、それはその通りかもしれんな、と思った。実際のペットも猫より犬のほうが好きだし。

「だってさ、好きな芸能人は? とか訊くと、黒谷友香とか栗山千明とか本仮屋ユイカとか超美形ばっか言うけれど、そんなタイプ、周りにいないじゃんねw」
「まあなw」
「見事に犬とか狸とかぽっちゃり系ばっかだよねw あたしも含めてw」
「おまえはともかく、ぽっちゃり好きだからなw」
「憧れるのはキツい系、でも好きになったり仲良くなったりするのはホンワカ系、わかりやす過ぎてウケるw」
「勝手にウケとけw」

アホみたいな会話でも、たまに本質を突かれることは、ある。