膨張と適時変更

ちょっと前から、ほとんど家から持ち出さず据え置きで使っているMacBook Proのバッテリーの膨張がなかなか酷くなってきた感じなので、先日、アップルストアへ修理に持っていった。

本体の異変自体は、実はもう去年の終わりくらいからなんとなく感じていた。最初は、ふつうに机に置いているだけなのに、ある日、微妙にガタつくことに気づいた。でもまだこの時点ではバッテリーが膨張し始めているとはまったく思わず、底のゴムがヘタったのか? くらいに思っていた。

しかし症状はじわじわと、そして着実に進行していったようだった。ただ、毎日の使用感の中ではほとんど変化に気づかなかった。まあ最近はラップトップ自体をそんなに使わないし、だからある時、ガタつきに気づいた際と同様、あれ? という感じでふと新たな異変に気付かされた。

その2回目の違和感は、ディスプレイを閉じる時の感覚だった。通常ならマックのラップトップはパタンと小気味の良い音を響かせて心地よく閉じる。それが、なんかパコンというかパフっというか変な感じになった。で、その時点で漸くさすがに何かおかしいと思い、症状でググってみて、ようやく(ああバッテリーが妊娠してるのか)とわかった。言われてみると、ガタつきも以前より酷くなってきていた。

ただ、コンピュータの機能としては依然として何の問題もなく普通に使えたので、そのまま修理は先送りにしていた。それでも、だんだん筐体の状態が見て分かるくらい悪化してきて、そのうちにディスプレイがパタンと閉まらないだけでなく、閉じても若干浮いたままで、隙間ができるようになってきた。

それでも、まだコンピュータとして使うことには支障がなかったし、バッテリーの状態を見ても「正常」のまま変わっていなかったし、修理に出すとしばらく家に母艦がなくなってしまうことに躊躇してしまい、修理に出す気になれなかった。もしもこれが機能的に支障が出てきたらすぐに直すけれど、何せふつうに使えるからストアに持っていく面倒くささが先に立ってしまっていた。

でも、そうは言っても、この頃ではもう見るからに膨らんできているのがわかる状態になってきて、ここまで来ると、今はまだよくてもこの先、そのうちに取り返しがつかなくなると嫌だから、そろそろ直そうかなあ、と最近は流石に思い始めていた。と、ちょうどたまたまそう思っていたところへ、たぶん来月の頭くらいになりそうだったけれど、ちょっとMBPを外へ持ち出さなければならない用事が発生し、いくら問題なく使用できるとしても、さすがにバッテリーが膨らんだ筐体を持っていくのは格好悪いし恥ずかしかったので、意を決して直すことにしてオンラインからジーニアスバーの予約を取った。今は新コロ対策でアップルストアはそうとう面倒くさいことになっているので予約必須。いきなり行っても入店できない。

で、この予約の際、もちろん人によるのだけれど、微妙な問題が発生する。というのもオンラインからの予約はApple IDでやるのだけれど、自分の場合、ふだんIDの名前はかなり適当なふざけたものにしてある。だからそのまま予約を入れると、ストアへ行った時に「予約してある〇〇ですけど」とそのふざけた名前を言わなければならない。だから、予約を入れる前にIDの名前というか姓の部分を本名に変更しておいた。

Apple ID自体は一度決めると変えられないけれど、名前は何度でも変えられるので、ふだんプライバシー保護の観点等から適当な名前にしている人はけっこういる気がするけれど(実際に偽名でも何も問題はない)その場合は、修理に出すときくらいはマトモな名前に変えた方がいいと思う。ちょっと前からiPhoneだと設定のところで登録名が目立つ部分に表示されるようになってしまったので、個人的には漢字で本名がデカデカと表示されるよりはアルファベットで別の文字列になっている方が気分的にしっくりくる。でも、現実的にそのふざけた名前を自分で口にするのも、誰かから呼ばれるのも、ちょっと恥ずかしい。だから、適時変更するようにしている。ま、もともと本名で登録している人には関係ない話だし、変な名前のままでも平気な人はそのままでいいけれど。どのみち書類を作るときはApple IDの名前なんか関係なく、ちゃんとした名前を書かなければならないし(受け取りの時に免許証等で身元を確認される)。

そして予約した当日、予約した時間に、かなり久しぶりにアップルストアへ赴いた。正直、アップルストアってあまり用事がない。ここ数年でも、SIMフリーiPhoneを買いに行ったくらいで、ジーニアスバーとなると、たぶん十年くらい振りのような気がする。尤も「バー」といっても三密対策なのか、これまでのようなカウンターではなく、大きなテーブルに2組ずつくらいとかなり間隔を取って対応していた。というか(アップルストアってもはや電話屋だな)と思った。というのも、席に案内されて周りをざっと見回すと、たまたまかもしれないけれど自分以外はみんなiPhoneの客で、ラップトップを開いているのは自分だけだった。

で、診断は案の定、バッテリーの膨張だったのだけれど(まあド素人が見てもわかる)、バッテリーって交換費用がなかなか高い。ざっくり2万ちょっとかかる。ただアップルストアで正規の交換ならサポートのページに価格が載っているし、定額なので、いったいいくら取られるだろう? とビクつく必要がなく、その点は安心感があるけれど。因みにビックカメラとかの正規サービスプロバイダみたいなところに出すと同じ内容の修理でも値段が跳ね上がるのでMacの修理はアップルストアでやった方がいい。iPhoneのバッテリー交換ならストアと同じ定額なのでどちらでもいい(寧ろ量販店なら店のポイントで払えるので、貯まっているならビックカメラとかの方がいい)けれど、それ以外の修理は全体的にかなり割高に設定されていると思う。

それはともかく。
母艦がない間はiPadiPhoneでなんとか乗り越え、一週間ほどで完了のメールが来たのでピックアップに行ったのだけれど、なんというか新品同様になって帰ってきた。バッテリーは本体と一体型だとかで、トップケースとかキーボードも新品になって戻ってきた。もちろんガタつきとかも一切なし。ぶっちゃけ、2万の出費は痛いけれど直してよかった。パカっと蓋を開くと見た目がピカピカで新品になってしまった。ただ、もうあと数千円出すと、たとえばコストコで売っているような安いChromebookなら本当の新品が買えてしまうから、やっぱMacは何かと割高なのかなとは思う。とはいえ窓のノートパソコンのバッテリー交換がいくらかかるのか全く知らないけれど。

でもまあ、これでまた当分は現役で使えそう。次のメジャーアップデートも対応するみたいだし、ストアのスタッフさんにも「このモデルは最新のOSにアップデートしてもスペック的に大丈夫ですよ」とお墨付きをもらった。

しかし、やはりパソコンがない生活というのは、不便。iOSだけでは心許ないことがまだまだけっこうある。単純に、Webで調べ物をしながらノートを作っていくときとか、ちょっと長めのテキストをガッツリとタイプするときとか、ラップトップのほうがいい。自分はやらないけど、動画編集とかする人もパソコンがないと不便そう。あと、アマゾンとかショッピングサイトなんかもPC用のページの方が情報量が多くて買い物がしやすい。

というわけで、無事に元の日常に戻った。そして帰ってすぐ、とりあえず再びApple IDの名前をふざけたやつに、まずは戻した。