完結しておけばいいのに

最近またお水の女の子に貢いで捨てられて逆恨みして殺しちゃった人がいてニュースになっていたけれど、この手の事件の登場人物たちとその構図に於いては「どっちもどっちじゃね?」的なことが絶対言われる。まあそれはそうかもしれないけれど、こういう話を聞くと、やっちゃった側の男に対しては、何も殺さなくてもブッ飛ばすくらいにしておけばいいのに、といつも思う。いくら憎くても、もう散々カネを巻き上げられてダメージを負っているのに更に殺人罪を食らってムショにぶち込まれるなんて、あまりに割に合わなくないか? と。尤ももうマトモな判断ができないから、そういうことをしてしまうのだろうし、現実の人となりはもちろん知らないけれど、こういう人はおそらく、ベクトルが間違っていそうだけれども根がマジメというか変にピュアなのだろうと思う。ふつう自分が大切にしているモノを売ってまでしてカネを作り女に渡すなんて、まずしない。そして被害者である女の子の方に対しては、殺されちゃったことは気の毒だと思うけれど、キラキラしたプライベートを見せびらかさず、狙うにしても相手の性格や属性はちゃんと見極め、あんまり欲はかかず生かさず殺さず上手くやればよかったのに、と思う。ただ、男と女のことは当事者同士でしかわからないことが多いから、他人があまり具体的にどうこうは述べないほうがいい。野次馬は裁判官ではないのだから。

ちょっと前には吉原の泡姫も殺された。この犯人の客も、おそらく身の丈に合わない額を嬢に注ぎ込んでいそう。で、こういう事件の共通点は、殺害方法がたいていメッタ刺し。もう犯行動機としては「可愛さ余って憎さ百倍」がメルトダウン状態に陥った『怨嗟』しかない感じ。だから後先も損得も無視というかそういう考えすら浮かばないくらい極度の視野狭窄に陥ったまま頭が沸騰しまくった状態でぶち殺してそう。個人的に、客としてのお水やお湯の女の子との関係は、代金を支払った範囲内で完結しておけばいいのに、と思う。ちょっと冷静になって考えれば、そもそもがカネでなんとかなる女なら、そんな女は世界にひとりではなく他にいくらでもいるだろうから、ダメっぽくなった時点で「今回は失敗」と潔く諦めいったんリセットして気分を切り替え、さっさとRPG感覚でまた別の女の子に行けばいい。カネの切れ目が縁の切れ目で切れた女の子をカネなしでもう一度振り向かせるのは不可能。だから最初から互いにプライバシーには立ち入らないほうが楽。たいしてカネもないのにお水の綺麗どころに対してお大尽やパトロンを気取るのはやめておいたほうがいい。そのうちに破綻することが目に見えている。そもそも「嫉妬」という感情が犯人側にあったなら、それがおかしい。嫉妬なんてものは、あくまでも相思相愛というか対等の関係ではじめて芽生える感情。一方的の場合には残念ながら「嫉妬」という概念は存在せず、そんなものは単なる「逆恨み」に過ぎない。

自分はそんな感覚なので、色恋営業に引っ掛かって貢ぐオッサンの心理は理解できない。尤も自分の場合は残念ながら先立つものがないので、貢ごうと思っても貢げないし、むしろ逆に貢いでもらいたいというか、食わせてもらいたいタイプなので、そういう女の子の的になることはないし、大前提としていくら美人でも色恋かけてくるタイプには一ミリも惹かれない。というかそもそも、普段の暮らしの中でぜんぜんモテない男が、煌びやかな夜のお店に行っただけでいきなり若くて綺麗な子から言い寄られるなんて、おかしいと思わないのか? と不思議に思う。まあだからこそ楽しくてハマってしまうのかもしれないけれど。尤もこのへんは、国外でハニトラに引っ掛かる政治家や役人も同じ。ふだん同胞にすらモテないお前らがモデルか女優みたいな綺麗どころの外国人にモテるわけがないだろうw という簡単な話。

基本的に、フー系でオトコを手玉に取れる女の子は見た目が良いのは最低条件として、たぶん気質にエシカル・ノン・モノガミー的なものがあって、その中でもオープン・リレーションシップ感がベースにあり、プライベートと店は完全に別、みたいな感じで淡白に割り切っていて、そのうえで上手く客を回せる子たちだと思っているので、一般的なモノガミーの男が、タチウチするのは無理だと思う。男の側も極端な話、ポリアモリーとかオープン・リレーションシップ傾向のある人間でなければ、その恋路の先には悲劇しか無い。既に何人も愛人がいるとかカミさんや本命の彼女とは絶対別れないけど遊ぶとか、そういう気質でなかったら、お水やお湯の女の子には手を出さないほうが無難だと思う。店内だろうが店外だろうが、男も女も、客もキャストも、双方が「遊び」と割り切っていないと、まあ拗れる。そして何より女の子の方も、相手の懐具合を考慮して適度に毟るべき。無理してカネを作ってくるようなオトコ、しかもストーカー気質のあるようなオトコをターゲットにし、カネは極限まで搾り取りながらろくにヤラせなかったら、ヤバいに決まっている。逆に言うなら、カネをホイホイ貢いでくるようなオトコは、適度にちゃんとヤラせて、引っ張るにしても首を括らない程度にしておけば、そのまま上機嫌で貢ぎ続けるはず。昔から日本にはこういう言葉がある、『窮鼠猫を噛む』。追い詰められた人間は何をするかわからない。だから追い詰めないことが、うまくやるコツ。

もちろん、全部の夜職の女の子が海千山千だと言っているわけではない。中にはお客さんとして出会った男と損得勘定抜きで本気の付き合いになる場合も、もしかしたらあるかもしれない。だけれども、少なくとも金銭を支払う必要のある場所から始まる恋愛に、カネを払った男の側からどっぷりハマって入れ込んでいくのはマズい。というか、そもそも「好意を寄せてる」的ムードを見せてくる女の子と会うのにいちいちカネがかかる時点で「ん?」と気づくべきだし、色恋営業を「遊び」として楽しめる人以外は、近づかないほうがいいと思う。尤もそういう余裕のあるオトコは、逆に露骨すぎる女は適当に遇らって、相手にしないかもしれないけれど。

ま、根本的な問題として、自分は下戸で、女の子のいるお酒の店にはきほん行かないので(もし行くとしたら「付き合い」限定で、更に金主がいる時だけ)、突き放して考えられるだけかもしれないけれども。男って単純でバカだから、酒が入ると妙に気が大きくなってしまう。自分は酒がほとんど飲めないので、自腹でキャバとかはありえない。何が楽しいのかわからないし、どうせカネを出すならお水より、後腐れのないお湯の方がよっぽどいい。そっちの方が確実に払った分のリターンがある。ただし、仮にお湯系へ行ったとしても、もちろん完全に「遊び」と割り切る。外でも会おうなんて一切思わない。だいたい、こんなことをフェミ全盛の時代に公言するとフルボッコされるかもしれないけれど、高いカネを払って触れもしないなんて何が良いのか、個人的感覚では理解不能。まあ酒呑みからしたら、若くて綺麗な女の子と一緒に飲めることが楽しいのかもしれないから、それならそれでぜんぜん否定しない。本人がそれで楽しめるなら他人が文句つけることではない。結局のところ、何でもホドホドのところでやめておけばいいだけ。

ところで、話はぜんぜん変わるけれど、世間的にはもう終わった感がある各種コロナ対応だけれど(手指消毒を撤去してる店とかも増えてきているし)、大学病院は違って驚いた。このまえ行った時、広い待合室にいたら、別の診療科だったけれど、どうも患者がコロナ陽性だったらしく、直ちに隔離され、先生も全盛期と変わらない防護服を着ていた。まあコロナに限らず、どんな問題もメディアが報じなくなれば「なかったこと」になっていくのかもしれないけれど、久々に感染症対策最前線を見た気がした。

しかし大学病院にかかっていると、あんがい利点はある。何せあらゆる診療科があるから、定期の通院の際に、主治医に別の診療科の症状を相談すると、たとえばぜんぜん関係ない眼科とかでも「最近ちょっと眼が変な感じで」みたいに言うと「どうしたの?」と訊かれ、症状を説明すると、「それは一応いっぺん診てもらったほうがいいかもね、診てもらう?」みたいに訊いてくれて、「はい」と答えると、とりあえず診察が終わってからコンピュータでちゃっちゃと眼科の空いている日と時間を調べて紹介で予約を取ってくれるから、ありがたい。診察券一枚で、あらゆる診療科にかかることができる。院内で回されるだけだからバカ高い初診料もかからないし、カルテは共有されているから別の診療科へ行ってもいちいち細かい説明をしなくて済むし。尤も予約は取り合いみたいなもので常に混んでいるから「この日にして」とか指定は難しく、空いている日時を先生が調べて「この日でいい?」と訊かれる感じでしか決められないけれど。つまり今日言って明日とかは絶対無理。MRみたいな各種検査もそうだけれど、超緊急案件でもない限り最短でも三週間から一ヶ月くらいは先になる。それでも最近、行きつけの歯医者が廃業してしまって、いま虫歯はないからいいけれど、「もしもの時は歯医者も紹介してくれますか?」と訊いたら、あっさりと「いちいちここまで来るのが面倒でなければ、いいよ」と言ってもらえた。しかし「肩こりで整形外科にかかってトリガーポイント注射とか打ってもらえますか?」と訊いたら、「こういうところの整形でそういうのはやってないから、打ちたかったら町医者だけど、あんなの効くの?」と逆に訊かれ、「いや、知り合いは効いたって言ってましたけど」と答えたら、先生は「へえ」と言っていた。