入らん→入った

自分は、相手によってというか、応答する前に音だけで相手がある程度わかるように、クラスタ毎に携帯の着信音を変えている。その着信音は、昔の着メロみたいな、既存の曲を使って自分で作ったやつ。なので、人といる時に電話が鳴ると、相手によって音が変わるので、訊かれる。

「ねえ、その着信音、買ってんの?」
「んなもん買うわけねーじゃん」
「でも、最初からなんて入ってないでしょ?」
「入ってない」
「どうしてんの?」
「作るんだよ」
「作れるの?」
「やってみりゃ簡単」
「なんでも作れるの?」
「手元に音源のデータがあれば、Macのミュージックアプリで作れる」
「そうやって作ったのってアンドロイドじゃなくてiPhoneでも使えるの?」
「使える。なんならやろか? 今の『とんぼ』」
「『とんぼ』はいらないw」
「作り方なんてググればいくらでも出てくるぞ? おれもネットで独学で覚えたし」
「いや、そういうのあたしは無理、そっちが作ったのをちょうだいw」
「じゃあ、あいみょんとかSuperflyとか、やろか?」
「あるの?」
「ないけど、音源はあるからすぐ作れる」
「じゃあ欲しいw」
ユーミンの『DESTINY』なら在庫があるぞw」
ユーミンもいいけど、『Beautiful』とか『フレア』とか欲しい」
「イントロが短いと作りにくいから『フレア』は無理だな。すぐ歌が始まってしまうと切るところが難しいし、うまくループしないだろうから。だいたい2、30秒くらいイントロのある曲が使いやすい。たぶん『Beautiful』はギリだ。だいたいさ、着信で歌声が流れたら変だろw」
「確かにw まあ曲はお任せするよw 何かちょうだい」
「じゃあ、作ったらメールで送るわ、たぶんパソコンからしか携帯には入れられんと思うけど、うちにパソコンある?」
「ある」
Windowsだと、おれ、やり方わからんけど」
Macだよ」
「だったら、こっちが送ったメールをパソコンで開いて添付してある着信音のファイルをデスクトップにでも置いて、それを、開いたミュージックアプリの中に適当にドラッグして放り込むだけ。あとは携帯と同期すると、着信音の設定画面を開けば勝手に入っているから、選ぶ」
「できるかな?w」
「それくらいできるだろw 音楽を同期するのと一緒なんだから。で、一回取り込んだらデスクトップのファイルはもう不要だからゴミ箱へポイでいい」
「わかった。くれたら、やってみるw」

で、後日、暇な時に『 Beautiful』の着信音を作った。しかし、改めて着信音として使うことを前提にいろいろ聴いてみたけれど、Superflyもあいみょんもイントロの短い曲が多い。なので、なかなか使い勝手の良い楽曲がなく、結局、『Beautiful』の他に、手持ちの中から『DESTINY』とB'zの『ZERO』を選んで三つのファイルをメールに添付して送った。

すると、少ししてその相手から電話がかかってきて「ありがと」のあと、「でも、ミュージックに入らんよ」と言われた。
「入らんって、ファイルのアイコンをドラッグして適当なところでドロップするだけだぞ」
「それが何回やっても弾かれて入らないのよ」
「そんなわけないだろ」
「そんなわけあるんだって」
「じゃあ、ちょっと待て」
作った着信音はまだデスクトップに置いたままだったので、自分でもミュージックを立ち上げ、それを試しにドロップしてみた。すると、確かに何回やっても跳ねられてしまって、入らない。
「マジで入らんな」
電話で相手に言い、「でしょ」と言うので、なんでだろう? と頭を捻った。ファイルが壊れているのか? とも思い、プレビューで再生してみたけれど、ちゃんと音は鳴る。
「おかしい。ファイルは壊れてないのに」
「でもさ、ダブルクリックしてデフォルトの『ミュージックで開く』もできないんだよね」
「そうなのか?」
そう答えつつ、デスクトップに置いてあるファイルをダブルクリックして開けようとしたけれど、確かに開かなかった。試しに右クリからQuickTimeを選ぶと、ちゃんと再生された。
「わけわからん」電話口で呟き、相手に言った。「ちょっと調べてみるから、一応ファイルは捨てずに取っておいて」
「わかった」
「でも、今夜はもうやらんから、何かわかったらまた近々こっちから連絡するわ」
「わかったw」

で、改めていろいろググったのだけれど、どうもよくわからなかった。拡張子を「m4r」に変更せず「m4a」のままなら、またライブラリに入れられる。しかし「m4r」にすると弾かれる。なのに、以前に作って既にライブラリの中にある着信音(「m4r」ファイル)はちゃんとミュージックで再生できる。ということは、ミュージックアプリが「m4r」に対応していないわけではない。ただ、外から入れられないだけ(入れられるのかもしれないけれど、自分にはその方法がわからない)。ドラドロ以外の「読み込む」も無理だった。

しかしそこで、ちょっと閃いた。だったら、できるかできないかわからないけれど、短く変換した「m4a」の音源をいったんまたミュージックに戻し、その中で拡張子を「m4r」に変更すればいいんじゃないか? と。

というわけで早速、デスクトップの「m4r」ファイルを「m4a」に戻し、ミュージックに放り込んだ。すると当然、スムーズにそのまま入った。で、ライブラリの中でファイル名はいじれないので、いったんそのファイルを右クリからFinderで開き、そこで再びファイルの拡張子を「m4r」に変更して保存した。すると、見事にライブラリの中に「m4r」として保存された。つまり、成功。テストで再生してみると、ちゃんと音楽が流れた。

と、まあ紆余曲折あって、とにかく解決したので、後日、相手に電話をし、そのまま話しながらやり方を説明し、「なんかめんどうくさいw」とブツブツほざく相手を宥めすかしつつ二回の拡張子の変更をさせ、無事に取り込ませることに成功した。で、ついでなので、iPhoneと同期して着信音として設定するところまで説明し、「やってみ」と言ってひとまず電話を切った。

そして十分くらい後、向こうから電話がかかってきて、相手が言った。
「できたわw」
「よかったw」
「ちょっとテストでかけてみて」
「わかった」
いったん切り、すぐにかける。しばらく──というかだいぶ呼んだ後、相手が出る。
「ちゃんと『Beautiful』が流れたw」
「まあまあ違和感なくループしたろ?」
「した」
「三曲とも入れた?」
「うん」
「だったら、おれからの着信は『ZERO』にしてくれよ」
「個別の設定の仕方、わからんw」
「とりあえずデフォルトは『Beautiful』にしておいて、連絡先の個別のカードの「編集」を開くと着信音の設定があるから、そこで選べる」
「わかった、かな?w まあやってみるw」
「まあ、それくらいだったら今度いつか会ったときに設定してやるわ。女のケータイは触らない、がおれの信条なんだけどw」
「それは良い信条だねw」
「だろw」
「でも、できなかったら頼むかもw とにかくありがと」
「ぜんぜんええよ」
「ところでこれって、 LINEの電話の着信音にもできるの?」
「 LINEは設定に出てこないからたぶん無理。signalはできる」
「わかった」
「じゃあ、またね」
「またね、ばいばい」

というわけでひとまず全部終了。しかし、たかが着信音で、なかなか大変だった。というか、以前は「m4r」のままiTunesに入れられたのに、なんで仕様が変わったのか、よくわからない。このところ着信音なんてぜんぜん作っていなかったので、どのタイミングでそうなったのかわからない。ミュージックに変わった時か? とも思ったけど、ググってみるとiTunesでも入らないことがあるみたいだから、ほんとに意味不明。

因みに、全部終わってから、後からわかったことなのだけれど、ミュージックアプリに入れた着信音のファイルは、内部的には、『ミュージック』フォルダの中の『iTunes Music』フォルダの中にある『Tones』というフォルダに全部入っていて、そのフォルダへ直接ならドラッグ&ドロップで「m4r」のまま入れることができた。結果論だけれど、おそらく、これがいちばん簡単だと思う。

しかし『ミュージック』なんてアプリ名より『iTunes』の方が遥かに格好良い。内部的には今でもフォルダ名で使っているし。写真だって『iPhoto』のままの方が良かった。