観ない理由

なんかこの頃やたらと高視聴率連発中らしい「ポツンと一軒家」だけれど、観たことがない。正確に表現するなら、観ないようにしている。どこかのテレビに映っているのがチラッと目に入ることはあるけれど、それだけの遭遇でも(これは観ない方がいい)というシグナルが自分の中から強烈に発せられる。

理由は明白。あんなものを観たら間違いなく羨ましく思ってしまうだろうから。正直、基本的に自分は他人の持ち物とか生き方とかそういうものに対して羨ましいと思うことがまずない。厳密に言うと、根本的なスタンスとして「人は人、自分は自分」と思っているし、他人を羨ましいと思うと自分が詰まらなくなるから、思わないようにしている。でも、たとえばワイハに別荘だとかスーパーカーだとか高級住宅地の屋敷だとかラグジュアリーなホテルの豪勢なスウィートルームだとか、そういう俗物的な贅沢に関しては、そりゃあ「ええなあ」とは思う。誰かがタダでくれて維持費も払ってくれるなら欲しい。というか欲しくない人なんて滅多にいないと思う。でも自分の場合は、無理して身銭を削らなければならないなら、別に要らない。これは強がりでも何でもなく本心。

ただ、ポツンと一軒家は違う。これはぶっちゃけ、そこで食っていける手段があるなら、身銭を切ってでも手に入れたいし、自給自足みたいな感じで実践している人を見ると、恥ずかしながら羨ましく思ってしまう。だから、そんな他人を「羨ましい」と思う自分が嫌だから、観ないと決めている。山の中の一軒家がどんなボロい古民家であろうとも、たとえば高級住宅地の豪邸より、個人的には惹かれてやまない。自分の理想の暮らしは、食うには困らない程度のカネを持ちながらの晴耕雨読的ライフ(別に贅沢できなくてもいいが大前提として食っていけなかったらどうしようもない)。そして、それに最も近そうなのが、生活が成立しているポツンと一軒家。だから、観るのはヤバい。

というか、多分あの番組が高視聴率なのは、ゴミゴミした街での周囲に人間が多過ぎる生活に心底うんざりしている人がそれだけ多いということの裏返しなのではないかと思う。個人的なことを挙げるなら、自分の場合、「視界から消え失せろ」と思うクソババア連中が、パッと思い浮かぶだけでも人間関係の中に4、5人ほどいて、こいつらが消えるだけで生活の風通しはかなりよくなるのだが、なかなか難しい。というか自分はどうもババア運が悪い。いつもどこからともなく湧いてきて気分が阻害され、ウザい。でもポツンと一軒家なら、そういうクソみたいな人間関係をバッサリと断ち切れる。それだけでも羨ましく思ってしまう。たぶん基本的に自分は人間嫌いで(少数の仲のいい奴だけいてくれれば充分)、いざとなればひとりでも生きていけるわ、と思っている節がある。

しかし限りなく大きなお世話だけれど、ポツンと一軒家をテレビで大々的に放送してしまって防犯上の不安はないのかしらん、とは思う。悪い奴が来ても、周りに何もなく誰もいなかったら、やられ放題になりそう。これはまあ昔から「なんでも鑑定団」に対しても思っていることだけれど。