唐突に

発表された紙幣の刷新。まさに寝耳に水というか、ぜんぜんそんな噂すら聞いていなかったから、驚いた。改元騒ぎにまぎれてしまっていたのか、まるでステルス機のようにいきなり出現した。

で、発表された新紙幣のデザインは、世間の評判同様、第一印象としては「なんかイケてねーな」という感じで、ほんとにこれでいくのかよ、と思った。何より数字のフォントが安っぽいし、そもそも千円の北里はともかく、一万円のオッサンと五千円のおばさんは誰やねん、と。百歩譲って五千円のオンナ枠は候補の選択肢自体が少ないだろうから仕方ないにしても、一万円はもうちょっと誰かいなかったのだろうか、と思った。唯一の救いは裏面。どの紙幣も裏は悪くない。

ただ、新しい紙幣はハッキリ言ってどれもクソダサいけれど、よくよく考えてみたら、紙幣なんてものは愛着を抱くような対象ではないし、一万円なら一万円として使えればそれでいいわけで、極端な話『10000』と数字さえ印刷されていればあとはどうでもいい。だから、肖像なんて誰でもいいというか、聖徳太子福沢諭吉に比べたら、実績はともかく世間的な知名度では圧倒的に劣ると思われるエーイチが一万円でも別に何の問題もないな、と思い直した。

それでも、元号が「昭和」の「和」に戻るのだから、一万円と五千円もいっそ聖徳太子のニューバージョンにしてみりゃよかったのに、とチラリと思った。肖像は偽造防止のためには写真じゃないとダメらしいけれど、だったら肖像画を写真に撮ってから使えば良さそうだし。

というか、偽造防止や印刷技術の向上が刷新の目的なら、現状のままブラッシュアップするだけで充分のような気も。