共食い

先日、なかなか衝撃的な場面を間近で目撃してしまった。

クルマを運転していて、ある交差点の赤信号で、左折するつもりで、いちばん前に止まった。そうしたら目前を横切る横断歩道上のほぼ道の真ん中に、たぶん車に轢かれたと思われる鳩かカラスのけっこうエグい死体があって(踏まないように左の路肩ギリギリまで寄って避けながら出て曲がっていかないかんな)と、ちょっとウンザリしながら止まっていると、どこからかデカいカラスが舞い降りてきて、その死体を啄み始めた。

(げ、コイツら共食いするんか)と思いながらフロントガラス越しに見ていると、その啄んでいるカラスがちょこちょこと死体を突くように咥えながら、じりじりと道の端の方へ引っ張って行き始めた。(おいおい動くんじゃねーよ)と思っていると(というのもそのまま引きずっていかれると左折するこちらの進路に引っかかる)、そのうちに別のカラスがもう一羽やってきて、二羽で死体を啄み始めた。横断歩道には歩行者もチラホラいたけれど、みな顔を顰めながらその一団から距離を取って通り過ぎていった。カラス共はそんな人間たちなんぞ全く気にせず死体に夢中。

(マジかよ、こいつら)と見ていると、そうこうしているうちに、こちらの信号が青になった。で、ちょろっと前に出たのだけれど、カラス共はこちらなんぞ完全に無視して二羽で死体を突っついている。仕方ないので、軽めのホーンで威嚇。しかし一度のホーンでは全く効果がなく、相変わらずカラス共は平然と死体を啄んでいる。かといってそのまま前進するとカラスを撥ねるだけでなく死体をタイヤで踏んでしまいかねず、そんなことは絶対に回避しなければならないので、「ファーーン」と他車に浴びせたら喧嘩になりかねない強めのホーンを引っ張るように浴びせた。そうしたら、ようやく死体から二羽のカラスが離れた。なので、やっと進路が開けた。しかしもうかなり死体が左へ移動していて避けようがなかったので、慎重に右のタイヤと左のタイヤの間で跨いで、内輪差・外輪差を意識しながらどうにか踏まずに左折成功。

交差点を出てから後ろは見なかったので、他のクルマがどうやってカラスや死体を回避したかは不明だけれど、おそらくみんなかなり慎重に通り過ぎたと思う。カラスを撥ねるなんて嫌だし、潰れている死体を更に踏むなんて絶対に嫌なはず。

それにしてもカラスは生ゴミとか好き勝手に食い荒らすし、雑食だとはわかっていたけれど、死体まで食うとは知らなかった。死んでいた鳥はたぶん車による轢死で、原型を留めていないくらい潰れていたので、鳥の種類まではわからなかったけれど、スズメよりは確実に大きかったので、カラスか鳩だと自分は思ったけれど、どちらにせよ肉が剥き出しで、鳥類同士の共食いには違いなく、(勘弁してくれよ)と思った。

ところで、関係ないけど、このまえガソリンスタンドへ給油に行き、この頃寒くなってきたので、ついでにファンヒーター用の灯油を買ったのだけれど、はっきりと去年の価格は覚えていないものの、なんか去年よりずいぶん安くなっている気がした。ガソリンは相変わらず高いけれど、灯油は庶民の暖房代と直結しているから調整が入っているのかしらん、と思った。