おちおち

病気にはなれんな、と思わされる出来事があった。

うちのばあちゃんは、四捨五入すれば100で、アラサーとかアラフォーとか的に今風にいうとアラウンド・ハンドレッドのアラハンで、今のところはまあ元気。とはいえ、いわゆる健康寿命的にはさすがに終わっていて、ちとボケているし(まだ「あんた誰?」というレベルまではいっていない)、心臓も悪いし(90過ぎてからペースメーカーを入れた)、何年か前よりは体力的に確実に弱っているし、普段は病院にいる。それでも個室にいるので、まあ自由気ままに、それなりにやっていて、休みの日に車に乗せてイオンへ行ったりすると、もちろん車椅子を押して移動するのだけれど、モールの中を動き回り、ラーメンやハンバーガーやアイスクリームを食べ、スーパーでは自分の食べるお菓子を選んだりしている。

しかし、さすがに足腰がかなり弱っていて、先日、病室内で転倒した。そして倒れているところを看護婦さんに発見されたらしいのだけれど、サイドテーブルかどこかで頭を打ったらしく流血していて、すぐにCTとか撮って、すると脳に血栓ができているということで、急遽、ERのある大きな病院へ救急車で搬送された。

その知らせを母ちゃんから受けて、平日の午後だったので、周りに事情を説明して、とりあえず病院へ駆けつけた。ただ、電話で聞く限り、見た目は普通以上に元気というか喋くりまくっている、ということだったので、たいしたことないのかな、とは思ったけれど、やっぱ頭は怖いので、ちと心配した。

で、病院に着くと、本人はICUと一般病棟の中間的な位置付けのHCUというところに入っていて、目のあたりにひどい痣ができていて、いろんな管や配線に繋がれてはいたけれど、まあケロッとしていた。お医者さんの話では、血栓はあるけれど今回できたものかどうかわからないので、ひとまず入院してもらって処置しながら経過を診る、ということだった。ちなみに本人は転倒したことすら覚えていなくて呑気に「わたし転んだの?」とか「ここ、どこ?」とか言っていた。

そして結局、翌日には血栓は消え、翌々日には退院した。つまり二泊三日、厳密にいうと一日目の昼過ぎに入って、三日目の昼過ぎに出たから、ちょうど48時間HCUで過ごし、いつもの病院へ帰った。

ただ、この治療費にはびっくらこいた。高いだろうな、とは思っていたけれど、なんと五十万弱だった。もしかしたら八十万くらいいくかな、とも思っていたので、それを考えると想像よりは若干安かったけれど、それでも五十万はふつうに高い。老人は一割負担なので実質的には五万で済んだのだけれど、もしもうちらが同じことをしてもらえば三割負担なので単純に三倍の十五万になるわけで、たった48時間で十五万か、と考えると、おちおち病気にはなれんな、と思った。